■生成AIの利用の基礎となる業務マニュアルの作成能力
1 業務マニュアル作成担当の変化
5月21日に業務マニュアル講座が実施になります。いままでの講義とは、内容がかなり変わる予定です。受講される方がかなり若返っています。コロナ前に毎回ベテランというべき方々が参加されていましたが、最近は新人に近い人の受講が目立ってきました。
業務マニュアルを作る人たちが若返っているのは、相談内容からも感じられることです。業務を記述するのは、慣れるまで手間も時間もかかります。この点で、リーダーの指示に従って、若手の有望な社員が業務マニュアルを作るのは望ましい姿といえるでしょう。
若手が業務を分析できるようになれば鬼に金棒です。さらに大切なポイントのところで、リーダーに入ってもらって、決めていくことも効果的でしょう。リーダーが、この仕組みで仕事をするのが良いと意識していることが大切です。実際の成果に影響してきます。
2 チャットボットの利用が可能
上司やリーダーが間違った指示を出すようでは困りますが、若手も自分で考えられるようにならなくてはいけません。もし自分で考えられるようになれたならば、次の展開がやってきます。いま注目の生成AIについて、利用を推進する役割を期待されるでしょう。
現時点で、生成AIでもっとも成果を上げているのは、チャットボットの利用です。チャットボットを利用するときに、業務マニュアルの作成能力がそのまま使えます。業務の整備が前提になるのは、原理から考えて当然のことですが、意外に知られていません。
チャットボットを利用するには、データや情報が必要になります。適切な回答をするためには、答えるための要素・パーツが必要です。それらは、生成AIが勝手に観察して取り込んでくれるわけではありません。人間が記述したものが必要になります。
3 業務の機械化・自働化の第二段階
業務が記述できなければ、チャットボットはうまく利用できません。逆に言うと、定型性のある仕事をチャットボットに置き換えるのは、比較的うまくいっています。公的機関の業務の一部がチャットボットになっているのは、相性が良いからです。
コールセンターの業務もかなりの程度、定型性がありますから、業務の一部がチャットボットでの対応に置き換わりました。その結果、最近では以前よりも電話がつながるようになっています。定型的な対応で十分なケースがそれだけ多かったということです。
ここからさらに進めば、現在では個別対応をしないと無理だろうという業務も、かなりの程度、標準化し定型化することが可能になるだろうと思います。定型化した部分を生成AIに任せ、人間が対応すべき業務の中核部分の仕事に専念するということです。
製造の機械化や自動化が進んだのと同じように、標準化し定型化した業務が生成AIに置き換わっていくでしょう。機械化・自働化の第二段階です。それには業務を記述して「見える化」する能力が必要になります。定型化できる領域の発見が前提になるのです。