■業務の標準化:業務マニュアルの作成について
1 作成担当者の若返り
業務マニュアルを作ろうとしている人たちが、少しずつ増えてきています。従来よりも若い人たちが作成の担当です。彼らに聞いてみると、会社にマニュアルがないとのこと。作成の仕方を教えてくれる人もいないと言います。困っているということでした。
会社から業務マニュアルを作りたいとか、ある分野について改善をしていきたいので、何とかしてほしいとか、そういう要望が若い人にいきなり伝えられるようです。指示ではなくて、要望という形式をとります。上司がこうするようにとの指示ができません。
大きな組織では、こんなことはないでしょうが、小さな組織では、これが普通です。しかし聞こえてくる話には、小さな組織ではない事例が多々あります。コロナで、経営環境が変わって見直しが必要になったようです。作成ができない組織が多いのには驚きます。
2 業務の標準を文書化する効果
業務をどんどん変えていかなくてはならない業種は、いくらでもあるでしょう。その時、こう変えたらいいというアイデアのある人が、今度はこうしましょうと言えば、あとは日々の業務の中で改善していけば、問題ありません。これを続けていけばよいのです。
しかし、こうしましょうと言える人がいなくなったら、何も残りません。文書に書いておくから標準化されたことになります。実際の業務を文書に記録して、それに基づくからこそ、改善が可能になります。担当者がいなくなったら、たいてい改善しません。
業務を標準化して、それを記すことがマニュアル作成です。それを全領域で作成する必要はありません。効果のあがる領域で、まずは標準化して、その評価を行うべきです。標準化するから、変更してみようということになって、改善が進んで行きます。
3 「本来こうすべき」を明確化
まずは業務の標準化ということです。現状の業務の状況を書いてみることからはじまります。書いてみればわかるとおり、人によってやり方にばらつきがあって、それを許容すべきなのか、迷う点もあるでしょう。一定のルールの中で自由を認めるのが標準化です。
本来こうすべきだという内容が、人によって違うとしたら、標準化されていないということになります。マニュアルを作るときには、本来こうすべきだという点を詰めていかなくてはなりません。その業務の目的が何であり、目標がどんな水準かが問われます。
こうした作業は、いきなり全部の業務ではできません。具体的な領域を決めて、そこから進めていきます。当然、成果の上がるところから始めるのが原則です。その領域の業務の流れは、どうなっているのでしょうか。業務の流れを明確にする必要があります。
業務の流れを明確にするとは、プロセスを示すことです。業務プロセスを作る、その業務プロセスの目的と目標水準を考える。こうしたところからスタートになります。直接的に経営に影響を与える高度な作業です。簡単にできないというのは、当然のことでしょう。