■マネジメントの欠落:基礎の基礎となる知識の必要性

      

1 マネジメントの基礎資料の欠如

マネジメントの定番の教科書というのは、どうやらないようです。学校で指定される本があったとしても、いわゆる基本書になるような本とは違います。ドラッカーの『マネジメント』が基本書になることは、まずないでしょう。他の本も、基本書ではありません。

『マネジメントの名著を読む』という小さなガイドブックには、12冊の本が紹介されていました。教科書的な、基本書になりそうな本はドラッカー以外では、マイケル・ポーターの『競争の戦略』でしょうか。しかしこの本も、基本書にはならないはずです。

マネジメントの基礎にあたることを、体系的に示した本を書くのは難しいのかもしれません。しかし、簡潔で使える本がないのは困ったことです。業務を記述していくときにも、マネジメントの発想があったほうがよいのですが、わかりませんということになります。

     

2 基礎的な知識の欠落

業務マニュアルを作るときに、当初は、現状の業務プロセスを書けば、それで事足りるだろうと思いがちです。あるいは、リーダーが「部下の作成した文書をチェックする」とあったら、これでチェックの業務が問題なく実施されるはずだと考える傾向があります。

業務の規定を、実践できているのか、検証している組織ならば、記述が実践できるようになっていないとか、業務についての考え方がバラバラだとか、次々思いつくでしょう。しかし多くの場合、業務の規定の実施状況を把握していません。検証がないのです。

これらは、教科書的な知識にはなっていません。教科書がないのですから、当然ですが、基礎的なところが欠落していることを痛感します。コロナが広がってから、こうした欠落が目立つようになった気がするのです。これでは、業務マニュアルがつくれません。

     

3 マネジメントの基礎の基礎が必要

少なくとも業務を記述するためには、最低限の基本的マネジメントの知識が必要です。業務マニュアルの作成者用に、必要最小限の知識を記載したマネジメント解説資料が必要になります。何かいい資料はないかと探していましたが、見つかりそうにありません。

いままでも何度か集中的に探した時期があったのですが、もはやお手上げかもしれなくて、自分でまとめてしまおうかと思いはじめています。5月に業務マニュアル講座がありますので、それまでに基本をまとめておこうかということです。

業務を記述するためには、マネジメントの発想が必要になります。例えば、経費削減を無理なくするために、業務の見直しを求められているリーダーが、マネジメントの発想なしに、どうやって業務を組み立てたらよいのでしょうか。苦労するはずです。

相談に来た方から、どうやって業務の勉強をしたのかと質問されました。実務家の方々から、専門分野の手法を学んだというのが答えです。その基礎があれば、マネジメントの本から、使える部分を見つけることができます。基礎の基礎が必要だということです。