■業務のブロッコリー構造:マネジメントの基礎

      

1 業務の大きさ・単位

業務について考えるとき、業務の粒度をどうするのかという問題がでてきます。例えば、業務マニュアルを作るときに、業務を記述する項目の標準的な容量をどうするか、簡単には決まりません。項目の大きさをどうするか、単位がどうなるか、決まりはないのです。

使う側が、使いやすいある種の標準的な粒度というものが、あるに違いありません。同じ内容の本でも、項目の構成によって読みやすかったり、読みにくかったりするのと同じです。しかし、どうやって標準を決めたらよいのか、特別な方法などありません。

こういう場合、最初から決めようとしないほうがよいのではないかと思います。業務をどう把握するかという基礎にある問題は、全体が見えない限り、見えてこないのが普通です。項目をどの単位にするかを決めずに、最初は、単位がバラバラの記述になります。

      

2 業務のブロッコリー構造

何でこんな面倒なことになるのでしょうか。業務の構造が何層にも重なっているからです。私はブロッコリー構造という言い方をしています。房の一つひとつに房があり、その一つの房の構造が類似です。小さな房を見ると、また小さな房から成っています。

業務を単位としてみる場合には、その業務の目的が決まるものです。その目的にそって、何を達成しなくてはいけないのかという水準が決まってきます。これが目標です。その目標を達成するための方法、プロセスが業務の手段になります。こういう構造です。

小さな業務にも目的、目標、手段があり、それらを束ねたもっと大きな業務を見ても、その業務全体の目的、目標、手段があります。組織全体でも、目的と目標と手段があるということです。業務の構造が幾重にも重なっているために、粒度が簡単に決まりません。

     

3 業務の粒度調整はマネジメントの基礎

業務がブロッコリー構造をしているという点を認識したならば、最初から粒度を決めて業務を把握しようとするのは、難しいと気づくはずです。ひとまず、ひと単位にした業務を単位として、まとめていくしかありません。そして業務を把握するには記述が必要です。

業務の単位を記述していくと、構造の違いによるブレが生じてきます。当然のように重複した記述が生じてくるはずです。小さな単位の上位の階層の業務を記述すると、上位の業務に下位の業務が含まれることになりますし、ひと単位の括り方の違いもあります。

これらを最初から調整するのは、現実的ではありません。それぞれの単位ごとに、業務をまとめていくしかないということです。だからこそ、業務を記述することが重要になります。業務が「見える化」していれば、重複や階層の違いに気がつくからです。

業務の粒度をある程度揃えないと、担当者が混乱します。標準的な粒度がどのあたりにあるのかを考えなくてはなりません。これは各業務を記述してからの調整になります。業務がブロッコリー構造をしているからです。これがマネジメントの基礎にあります。