■マネジメントの本でよいものがあるかと聞かれて:『マネジメントの名著を読む』

     

1 日経文庫『マネジメントの名著を読む』

若いリーダーからマネジメントの本でよいものがあるかと聞かれました。簡単にマネジメントがわかるという本はないように思います。ドラッカーを知っているかと聞いたら、予想通り、知りませんでした。マイケル・ポーターも当然知りません。

ひとまず名の知れた著者の本がどんなものか、題名と簡単な解説だけでも読んでみるのが良いと思います。それで、日経文庫の『マネジメントの名著を読む』を読んでみたらどうかと言いました。12冊の本が紹介されています。解説者は専門家と言われる人です。

▼『戦略サファリ』ヘンリー・ミンツバーグ他 『競争の戦略』マイケル・ポーター 『コア・コンピタンス経営』ゲイリー・ハメル他 『キャズム』ジェフリー・ムーア 『ブルー・オーシャン戦略』W・チャン・キム他 『イノベーションのジレンマ』クレイトン・クリステンセン 『マネジメント』ピーター・ドラッカー 『ビジョナリー・カンパニー』ジェームズ・コリンズ他 『最強組織の法則』ピーター・センゲ 『プロフェッショナルマネジャー』ハロルド・ジェニーン他 『巨象も踊る』ルイス・ガースナー 『ウィニング 勝利の経営』ジャック・ウェルチ他

      

2 『戦略サファリ』の解説だけ読めば十分

最初の『戦略サファリ』の解説だけ読めば十分だと言っておきました。20頁足らずの文章です。これを読んでお手上げなら、また別の方法を考えるしかありません。結果として、この件、何も言ってこなくなりました。年度末で急に忙しくなった様子です。

マネジメントの名著の名前も知らない若者が、いきなり『戦略サファリ』を読んでも仕方ないでしょう。その解説にはエッセンスが書かれているはずですが、それを読んで興味がわくかどうか、微妙な問題です。しかし相性がわかるだろうと思います。

若者には、マネジメントを大学の教養課程で読むような本で学べるという雰囲気がありました。そのくらいマネジメントというものになじみがないのです。マネジメントの名著を読んで経営がわかるようになるというものでもないでしょう。まずは実践ありきです。

     

3 実際にビジネスを進めて感じ取ること

『マネジメントの名著を読む』の第1章の解説を入山章栄が書いています。この本では、ひとつの章が4つの項目から構成されており、その最初の項目は[「はず始め」「声を聞く」-成功の要諦はここにある]です。まさにマネジメントのエッセンスでしょう。

▼ミンツバーグは、「戦略とは事前に計画されるものではなく、実際にビジネスを進めて顧客の反応を知り、現場の声を聞き、試行錯誤の上にわき上がってくるものだ」と主張しました。 p.21

最初からすべてがわかって話が進んで行くわけはありません。誰でも、何かをしようと思って動き出すと、思いもよらないことが必ず起きます。その場合、臨機応変の対応をするしかありません。そうやって進むうちに、何かが見えて来るはずです。

試行錯誤するしかないでしょう。若者にマネジメントはこうだという話をしても、いまは無理な話です。想定外のことが起きて、まさに臨機応変の対応が必要なときでした。その話は別にやり取りしています。そちらで苦労してから本を読むのがよさそうです。