■生成AIの文章を読んでみて:顧客視点の欠如について
1 生成AIで文章作成する効用
生成AIを使って文章を作るということが、最近はめずらしくなくなってきました。技術に関することを専門家の人に聞くと、彼らは生成AIを使って叩き台の文章を作ってくることがあります。間違いがないかの確認して、わずかな手直しするだけのようです。
技術のことを説明するときに、どんな文章で説明したらよいのか苦労するときに、叩き台があれば、ずいぶん楽になることでしょう。一度使いだすと、頭の中の整理にも役立つらしくて、つぎつぎ生成AIを使った文章を書いてきます。文章があると便利です。
文書として、ひとまずまとまっていますから、記録に残しておけます。説明を聞くときに、振り返ることのできる記述があると安心です。文書になていれば、反復して読めますし、自分のペースで読めます。内容は技術者がチェックしてくれていますから安心です。
2 顧客視点の有無
こうした生成AIを使っての文章作成は、自分の専門分野を持つ人が使う場合、明らかに効用があるのだとわかってきました。おかしな点も、確認することができるのがありがたいことです。技術的な面がわかった後に、しかしこれはおかしいねえと言えます。
もともと技術の専門家が技術の話をする場合、その人の頭の中で考えていることが濃厚に反映されます。技術を追っているわけです。ビジネスの観点から技術を見ると、顧客の視点が感じられないことがあります。技術そのものに関心が傾いているのです。
これは技術の専門家に任せておくわけにはいきません。実際のところ、顧客視点がわからないからこそ、技術の人達も別の領域の人間に話をしてみるわけです。顧客の視点というのが大切なのはわかっています。そして生成AIの文章には、顧客視点が希薄です。
3 問題は使い方なのか否か
技術の人からの文章を続けて読んでみて、生成AIというのは、顧客がどう考えているとか、その種のことについて言及するのが苦手なのかもしれないと感じてきました。技術の人達の中には、顧客の視点を考えるのが苦手な人がいます。何だか似ているのです。
顧客が何を考えているのかというのは、技術のこととは別領域のことですから、あえて顧客の立場に立たなくては、その視点は得られません。簡単なことではないだろうと思います。これは誰にとっても、同じでしょう。ことに生成AIにとっては難しいようです。
生成AIが、これからも機能や性能が急速に改善していくことは間違いないでしょう。そのとき、生成AIの作る文章の中に、利用者の視点を入れることも可能になってくるかもしれません。専門家に確認したら、使い方の問題が大きいと思うということでした。
ユーザーが何を感じるのかを含めた記述にするには、質問の仕方を工夫しないといけないのは間違いないでしょう。しかし、そもそも顧客視点がどうであるのかまで生成AIに聞こうとするのは間違いかもしれません。この点を、いま注目してみています。