■リーダーとマネジャーとスタッフ:「目的・目標・手段」と役割
1 組織の役割と役職
リーダーという言葉は、広い概念を表すものです。いわゆるトップリーダーにあたる組織のトップに立って方針や方向を決める人である場合と、部門やチームの長の場合とがあります。リーダーシップの話をする場合、両者を含めての話になることが多いようです。
マネジャーという言い方も広く使われています。リーダーとの関係で言えば、一般的にはリーダーが方針を立てて、マネジャーが目標管理をするというのが役割です。経営層、管理者、現場スタッフのうちの経営層がリーダー、管理者がマネジャーと言えるでしょう。
組織の役割を考える場合、三層に分けてそれぞれの役割を考えていくのが一般的だということです。たまたま会社の役職名で、チームリーダーとか、マネジャーという言い方で呼ばれる人たちがいて、その役割が組織ごとに違っていて、混乱した話になりました。
2 目的・目標・手段と戦略・戦術
リーダー、マネジャー、スタッフと分けた場合、目的・目標・手段という3階層の役割と関連づけができます。リーダーは目標あるいはミッションを決めることが主な役割です。マネジャーは目標管理を行い、スタッフは実践していくということになります。
戦略は、リーダーとマネジャーの両者の考えを総合して成立していくものです。リーダーが現場のスタッフの状況まで十分に把握していませんから、マネジャーが関与することになります。したがって戦略は、目的を目標に変えるためのものと言ってよいでしょう。
戦術は、戦略に適うものであることが必要です。戦術を考える場合、マネジャーとスタッフとのすり合わせが必要になります。ここで決められたものが、リーダーの承認によって確定するということです。戦術は、目標を手段に変えるためのものと言えます。
3 思考の整理の前提
役職についての議論がありますが、マネジメントにおいては目的・目標・手段を考えるのが基本ですから、それとの関連で、役職を構想するのがよいでしょう。こうした関連づけをしてみると、個々の組織での役職の名称と実質的な役割の違いも見えてきます。
考え方を整理するために、こうした三層にわけて考えるのがよいでしょう。若者がリーダーになったという場合、第二層の役割を担うことになったと考えて、何をしたらよいかと考えるのがよいのです。そうすると自分の役割が見えてきます。
戦略とは何か、戦術とは何かを、各自が自由に表明すると、ほとんどが一致しません。これを三層の役割と目的・目標・手段を関連づけて考えると、目的を目標にするのが戦略、目標を手段にするのが戦術だということになります。これならわかるというのです。
実際の会社でつけられる役職の名称と、現実の仕事の役割を考えるだけでは、見えてこないことがあります。しばしば用語の定義はブレがちです。こういうとき基本的な三つの層で考えてみるのがよいのではないかと思います。これが思考の整理につながるはずです。