■新しい状況への対処:やる気のないスタッフに苦労する若手リーダーの相談

      

1 若手リーダーからの相談

若手のリーダーがやってきました。会社であれこれあったようです。最近は人手不足でうまくいかない状況になっています。当然のように効率化を進めてきました。ところが転職してきた人たちが、ほとんどやる気がないようです。どうしたらよいのでしょう。

効率化をしたために、仕事の負担は減っています。しかし入社初日に歓迎会を開いた上司に対して、仕事なんてしたくない、本当はやめたいと言っていたそうです。若手のリーダーには採用する権限もありませんし、人事の担当者も人集めに苦労しています。

こういう人が入ってきたら苦労するだろうなと思わせる人たちが、何人か集まってしまったようです。どんな人たちかが問題ですから、行動や経緯、それまでの言動を聞いてみました。どうやら楽な仕事だけの職場が良いという考えを持っているようです。

        

2 楽な仕事を求めて転職

簡単なアルバイトをやって最低限の収入を得てきた延長線上で、就職をしてきた人たちがいます。なるべく楽をしたいという発想を持った人たちは、転職を繰り返しながら楽な仕事を探し、たいてい収入が少ないと不満を持ってきたようです。

かつてなら、こういう人たちはいらないという発想になったことでしょう。ところが、本当に人が集まらないというのです。長期的には、魅力的な会社であるというイメージをつけないと、人はやってこないでしょう。しかし、今すぐには無理な話です。

そうなると、いまの仕事をいかに効率的に、負担を減らしていくかということが大切になってきます。他に行くくらいなら、ここがいいやという程度に仕組みを改善していくこと、それでも一定の成果を上げることが当面のやるべきことになるでしょう。

      

3 楽に成果を上げる仕組み作りが王道

当初はこのリーダーも、ありえないことだと思っていたようです。他の部門の新人たちが一生懸命やっているのを見ると、何でまたと感じていたと話していました。ところがその部門のある場所が違うのです。会社の魅力ではなくて、場所に魅力があったのでしょう。

リーダーになって、新しい状況を見るうちに、いままでの常識が崩れていく感覚を何度か味わってきたとのことでした。コロナ以降、小さな会社では人手不足がひどくなっています。いい人が来ないという声が出ていました。今後は、これが普通になります。

転職が簡単にできる状況になれば、楽したいという人が増えてくるのは自然です。楽したいという人たちに対して、楽な仕事の仕組みを考えて、一定の成果を上げるというのは王道でしょう。この競争だと言ったら、やっと進む方向がわかりましたということでした。

やる気のある人、専門知識をつけたい人も間違いなくいます。実際、この若手リーダーもそういう部類の人です。しかしそれは少数派でしょう。やる気のある人でも、楽な方法で同じ成果を上げたほうがよいからと言うと、妙に納得していました。