■オピニオンリーダーがいない時代の新しいコンセプト:支持政党なしの浮動票が動く予感

     

1 若者との対話

秋になってから、若者が何度かやってきていました。秋の展覧会シーズンに、いくつか行きたい展示があったようです。しかし画廊に行くのは慣れてなくて、同行したいということでした。わからなくはありません。たいてい、そのときに仕事の話が出てきます。

個々の仕事の話は、まさにそれぞれのことになりますが、皆さん、あんがい忙しい様子です。その合間の話で、世の中で言われている政治状況とのズレを感じました。兵庫県知事選挙のことなど関心なしですし、首相の名前が思い出せないという人もいます。

大手メディアの影響がどうしたこうしたと、あれこれ言う人がいますが、すでに親の世代が新聞をとっていませんし、テレビも見ていない様子です。ワイドショーなど見るはずもありません。こういう若い人たちは、どういう考えなのだろうと思ったりします。

      

2 支持政党なしの浮動票

このまま何年か経つと、世の中の様子が大きく変わると、感じました。若者には政党支持という発想がありません。政治家を個人で評価しています。現在の政権に対して、どうなるかなどということには興味が薄いのです。もうすぐ終わるからとも言っていました。

有権者の怒りという表現がなされることもありますが、たぶんそれらとも関係ないでしょう。いわゆる支持政党なしという存在ですし、たいてい現実派ですから、革新政党の支持者はまずいません。立憲民主党という政党の名前を、ほとんどが知らない状況です。

浮動票の割合が大きくなるということでしょう。組織票という不自然な存在が、徐々に減っていく気配が濃厚です。岸田・石破政権が一体的に否定的に捉えられているのは印象的でした。一方、日本保守党とか高市早苗という名前も、ほとんど知られていません。

     

3 新しいコンセプトを出す政治家に注目

新聞もテレビも見ないで、情報をどこから得ているのかと言えば、やはりネットになります。それも何かのついでに見ている感じです。積極的にニュースをチェックしている様子ではありませんが、若者が高齢者に比べて、政治的に無知だとも思えません。

何人かと話してみれば、論評が少なくて事実関係をチェックしていることがはっきりしてきます。理屈は受け入れなくて、ポイントは何かという話なら聞くという様子です。仕事をすれば、そうなるでしょう。何となく悪くないなあ…という感じを持ちました。

既成政党の既存の路線であれこれ言っている間に、新しいコンセプトを提示した政治家に賛同が集まるのではないかと感じます。こうした傾向は、けして若者ばかりではないでしょう。オピニオンリーダーがいなくなったと言うこともできるかもしれません。

従来の政権交代とは違った動きになる可能性を感じています。まっさらな新しいコンセプトが提示されて、それらの中で賛同を得たところが大きな流れを作るという予感です。これだ…となったら、若者も投票に行くでしょう。ささやかな観察を記しておきます。