■組織での動画の活用について:問われる活用法の確立

     

1 動画への関心

昨日、マニュアルの電子化・動画活用についてのリーダー向け研修を行ってきました。事前のアンケートでは、多くの方が、マニュアル作成の基本について聞きたい、さらに電子化について聞きたいということでした。動画の利用は、まだあまりなされていません。

ここ数年、この講座では事前アンケートを実施してきました。実際に動画を活用しているという方が、2割弱といった感じがします。実際に講義をしてみると、まだ動画を導入してはいないけれども、動画に関心を持っている方が半数程度はいる様子です。

逆に言うと、3分の1程度の方は動画への関心があまりないということになります。動画への期待がどんどん高まっているとは言いかねます。専門業者への発注はコストがかかり、自分達の作成ではあまり成果をあげていないということになりそうです。

     

2 サービス提供者の状況

10年ほど前から、今後は動画のマニュアルが主流になりますからというお話を聞かされてきました。IT企業からのサービスが提供されていましたので、案内を見た方もいることでしょう。提供会社の中には、話を聞きたいという方もいらっしゃいました。

知り合いに連れられて、動画のマニュアルに関係する技術者にお会いしたことがあります。マニュアルに関心があるのではなくて、技術の利用に関心があるという印象を持ちました。残念ながら、マニュアルについての基礎的知識が欠如しているのです。

あらためて動画の活用方法を考える必要があります。動画だけでマニュアルを作ることは、効果的ではありません。人間は映像を長時間見ていられませんから、何らかの工夫が不可欠になります。作成する前に、活用方法を決めなくてはならないということです。

     

3 問われる活用法の確立

動画の効果的な活用は簡単ではありません。多くの方が、失敗事例を聞いたことがあるはずです。動画には魅力がありますが、人間は長時間ずっと動画を見ていられません。作成した動画を、一方的に流しても効果がないことは明らかです。

映画のように長時間のストーリー展開があって、それを見たら完結するような、そんなイメージで動画を活用するのは、現実的ではありません。組織でビジネス用に動画を活用するのならば、研修で短時間のものを流すなど、補助的な活用に限定されます。

文書内に、短時間の動画を、いくつか埋め込んで活用する方法は、一定の効果が期待できるスタイルといえるでしょう。ここでいう短時間とは3分以内のものを言います。効果的なのは1分半以内のものです。動画の活用には、このくらい制約があります。

実践的にというならば、OJTが効果的です。簡潔に内容を知ろうとしたら、文書が有利でしょう。一方、百聞は一見に如かずです。簡単に見られないものでも、動画なら見られます。大きな可能性があるのに、まだ効果的な活用法が確立していないということです。