■若者の無関心:与党の過半数割れについて
1 政党でなく政治家を支持
先の衆議院選挙で、自民党と公明党の連立政権の議席数が過半数割れになりました。その後に会った若者たちは会話で、過半数割れの話題を一度も出してきません。やはりかという感じです。もともと自民党支持層とか支持率というのは、現実とズレていました。
若者が自民党を支持しているという意識は、ほとんどなかったはずです。安倍首相の時代に就職活動を行い、そのとき就職氷河期からの好転を身に染みて知っている人たちが安倍首相を支持していました。自民党を支持していたわけではありません。
その後も政党の支持などするはずもなくて、ほとんど政治に関心を失っていました。新しい首相の名前が出てこないというのも、めずらしくありません。しかし何でまたこんなに急速に、岸田氏登場以降、この若者たちは政治に関心を失ってしまったのでしょうか。
2 官僚主義はダメなモデル
サービス業に従事する若者は、岸田内閣の後半から、政権に対して批判的になっていました。自分たちの仕事にじわりじわり悪影響が出てきたためです。一方、IT企業に行った若者たちは、ほとんど政治に関心を失っていました。原因は、案外まともです。
安倍首相の時代には、政治家が判断して政策を決めていたという感じがありました。しかし岸田政権以降、官僚が主導権を握っています。自分で勉強しない人にはブレーンもつきません。官僚に丸投げして、成果を上げたとの自己満足に浸っているという評価です。
すでに官僚任せでは、何も期待できない時代になりました。バブルが崩壊して高度成長などと縁のない世代にとって、官僚は有能な存在ではなくて、普通のダメな人たちです。その人たちに任せていたら成果など期待できません。問題は「政治家」かどうかです。
3 「政治家」の登場
今後どうなるのか、たぶん「政治家」か官僚かという対立軸は、参考になるでしょう。IT企業に通う若者で選挙に行くのは少数派のはずですが、「政治家」が誕生して話題になれば、投票する人が多数派になるはずです。劇的な変動を生む可能性があります。
サービス業に従事する若者はすでに安倍首相という「政治家」を支持していました。自民党など支持してなかったのです。官僚に任せる人はダメだという評価が明らかにありました。本当の意味でのリーダーの登場を待っているということになります。
官僚任せでない政治家が、同士を集めて組織の上に立つならば、若者は目を覚ますでしょう。以上は少数の人との会話で気づいたことですから、たしかな根拠があるとは言えません。ただ、本人たちも明確に意識していないある種の感覚は、確たるものに見えます。
ルーティンを淡々と行う官僚では、日本の発展はないという洞察があると考えるのは、甘いかもしれません。ただ、官僚主導か政治家主導かという視点は今後も使えるはずです。「政治家」が登場すれば、従来の政党の枠組みも変わるでしょう。注目しています。