■日本にきた留学生たち:ささやかで小さな領域の変化
1 欧米からの留学生の登場
毎年、留学生から自国についての話をしてもらいます。気がついたときに、どこの国から、どんな経緯で留学したか、日本での生活で、自分の国とどんなところが違うかなどと聞いてみるのです。ささやかなやり取りでも、新鮮な驚きがときどきあります。
昨年来、留学してくる学生の国に変化が起き始めているかもしれません。ご存知の通り、中国人の留学生が相変わらず多数派ではあるものの、かつてほど突出しなくなりました。ベトナムからの留学生の数も、急速な増加から減少へと転じています。
中国の経済減速は2015年くらいから始まって、2018年にはかなり深刻化していた様子でした。これがコロナで決定的になったのは、ご存知のことです。ベトナムもその影響を受けているでしょう。一方、欧米の国からの留学生が少しずつ現れています。
2 日本で就職する前提の留学
専門学校にアメリカからの留学生が来ることは、いままでほとんどありませんでした。日本からの留学生を受け入れてきた家庭に育ったので、日本は身近だったとのことです。あるいはフランスやイタリア、スウェーデンからの留学生もいます。
ヨーロッパからの留学生は、日本の歴史や文化的に関心を持った若者たちです。数か月間、自国で日本語を勉強して、日本の日本語学校で2年ほど勉強して専門学校に入学といったところが標準的なケースになります。日本で就職する前提での留学です。
スウェーデンでは高校で日本語の授業を撰得することが可能だとのことでした。円安になった結果、日本には留学しやすくなっているのかもしれません。まだ少数のことですが、若者たちの、日本への関心が留学という形になるケースがみられています。
3 日本の国際的地位の低下現象に変化
国際的な地位というのは、相対的なものですから、日本だけでどうなるものではないでしょう。欧米も、どんどん発展しているわけではありません。どうやら日本の国際的地位の低下に歯止めがかかったかもしれないというのが、率直な感想です。
安倍首相が再登板したのが2012年の末のことでした。あれから10年以上たっています。ここ数年はコロナで曲がり角に来ている感もありますが、それは日本だけのことではありません。紆余曲折はあるかもしれませんが、日本への注目は維持される気がします。
当面、留学生の数が急に増えそうには見えません。中国人の減った分を、徐々に今まで留学生がいなかった国からの留学生が埋めてくる可能性もあります。今後、どんな状況になっていくのか、新しい秩序の形成を見ている感じです。日本の鏡のような気がします。
ときどき欧米の学生は優秀なのかと聞かれるのですが、アジアの学生と変わりません。最優秀なのもダメなほうも、あいかわらず中国人留学生です。留学生の教育水準は、全体として日本人よりもやや低い程度でしょう。もはや横一線、努力次第といったところです。