■基本構造・基本原理を知ろうという欲求:求められる考えるヒント

      

1 基本・基礎の重視

締め切りギリギリまで修正をして、セミナー用のテキストを送付しました。従来から実施している講座のテキストであっても、事前アンケートを見てみると、同じ講義内容ではダメだと感じることが多くなっています。今回も、全面改定になりました。

事前アンケートなしの講義でも、先日の図解講座のように、事後のアンケートを見て、大きな変化を感じることがあります。何が変わったのか、まだ決定的なことはわかっていないというしかありませんが、しかし、たぶん原点回帰といった感じのものです。

参加者の様子も変わっています。いただいたご質問や、ご要望に合わせて改定してきたとしても、参加者が大きく変わった場合、内容をゼロベースで見直さないとうまくいきません。このとき基本や基礎を重視する内容に変えないと、うまくいかなくなっています。

      

2 従来型の発想ではダメ

もう一度基礎をきちんと理解して、自分で考える必要があるようです。AIの影響があるのかもしれません。1対1対応の単純な答えを求められる仕事では将来がないと感じる人が出てきています。こういう相談をしてくる人は、たいてい優秀な若者です。

若い人に限らず、このままではどうもいけないと感じている人が、必ずいます。関心分野について、自分で考えるようになりたいという要望が示されるのです。印象から言うと、要望というよりも、欲求という感じがします。何かを感じているというイメージです。

自分達でもよくわからないながらも、従来からの発想、考え方ではダメだということでしょう。定型的な「How to」では対処できないという感じがあるようです。基本的な構造、基本原理はこうなっているというところから考えたいということだろうと思います。

     

3 考えるヒントが必要

少し前に、書店で受験参考書の棚を見てきました。何でこんなことがわからないのかということがありましたので、もしかしたら習っていないのかもしれないと思ったのです。実際には書かれていました。ただ記述がわずかですから、微妙なところです。

これは地理の分野でのことでしたが、他の分野の参考書でも、講義風の本がいくつか出されていました。ずいぶん大胆に内容を絞り込んでいます。基礎を重視しているというよりも、あっさり触れているだけで、全体の情報量も足らない気がしました。

実際の講義がどうなっているかはわかりませんし、講義風の本ばかりを読むわけではないでしょうから、一概にどうだとは言えません。ただヒントは得られました。基本重視、基礎重視の欲求が生まれてくる要因はなんとなくわかる気がしました。

すぐに答えが出ない問題を考えている人たちにとって、基本構造がどうなっているのかを理解して、自分なりの答えを出す必要があります。このとき、考えるヒントというべき領域がないと、なかなか先に進まないでしょう。これは他人ごとではないと思いました。