■日本語の文法の第一波・第二波・第三波
1 1980-90年代に日本語がグローバル化
日本語文法について、文法のことなど何も知らないという知り合いに、大雑把な話をしました。現代の日本語ができたのは、そんなに昔のことではないはずです。日本企業が海外に出て行って、活躍していると言っても、それも最近ですから、そう違いません。
たとえばトヨタ自動車が北米進出を決めて、ケンタッキー工場を作ったのが1987年でした。日本的経営がアメリがでも注目されたのが1980年代ですから、まだそのころ、日本においてグローバルな環境が整っていると言える状況ではなかったと思います。
日本語の場合も、書かれる内容がグローバル化することが、書くこと読むことに影響を与えたはずです。1980年代か1990年代に、現代の日本語になったと考えられます。そのくらい最近のことだとしたら、日本語の文法がなくてもおかしくないはずです。
2 日本語文法の第一波と第二波
日本語の文法の場合、戦後に古典文法を現代文法に転換していったのが第一波でした。古典文法には形容動詞がありますから、その名残りのように、教科書文法にはまだ形容動詞が生き延びています。英文法の影響もあって、主語と述語を骨格とした文法です。
その次に、外国人向けに日本語を教える人たちが作り上げてきた文法が第二波になると思います。ここでは形容動詞は消えて、形容詞の中のナ形容詞という扱いになっていました。さらに主語を否定する考えの人が、もしかしたら多数派です。
第一波よりも、第二波の方が若い学者たちの支持を受けていますので、最近の学界では通説的な見解になっているかもしれません。しかし、日本人向けの文法ではないですから、何となくしっくりこないことがあります。一般の優秀な方々は支持していません。
3 第三波の予想図
そうなると第三波が出てくるはずですが、まだ明確になっていないようです。第三波となるための条件は、文法に関して専門的な知識がなくても、使える文法であることになります。日本語の文法で、日本語の文章が分析できるツールでなくてはなりません。
第二波の問題点は、主語・述語を否定してしまって、かわりに主題と解説という構造を導入してしまったことです。主題の定義が上手くできていません。「は」が主題の目印だ言うのでは、使いようがないのです。使える文章の分析方法も提示できていません。
「は」は主題で、「が」は主格ですから、両者は別物です…というのでは説明になっていません。活用のない「ナ形容詞」に活用形があることにしてあります。こんなツールで文章の分析などできるわけありません。第三波と言うなら、文章分析ができるはずです。
適切な文章分析ができるなら、小学生の言語能力が増進したり、言語野の障碍を改善したりといった効果も期待できるでしょう。日本人が日本語を、意識的に運用できるようにするための文法が出てくれば、たぶんそれが第三波になります。こんな話をしました。