■政権の交代が生じる要因:新しい人・新しいやり方
1 ビジョンが見えてこない
昨年の12月に、アジア各国の留学生の人達から、日本の次の首相は誰になるのでしょうかと聞かれたことがあります。もはや岸田首相が再選される可能性はないという前提での質問でした。しかし、次が誰なのか、候補もわからないのは不思議だったようです。
あれからずいぶん時間がたちました。8月14日に、岸田首相の退任の会見があったそうです。やっとという感じもします。この間、次の有力候補者が見えてきたわけではありません。どうやら日本が進むべき道が見えてきていないということになりそうです。
しかし、こうした状況に陥っているのは、日本に限ったことではないかもしれません。イギリスでは政権が何度も変わっています。フランスもドイツも、政権が不安定です。こうすればよいという明確なビジョンが見えていないことが背景にあるのでしょう。
2 別の道を開拓することが必要
明確なビジョンが見えないのは、なぜなのでしょうか。間違いないことは、従来の延長線上に、いままでのような夢が描けなくなってきているということです。従来通り、同じやり方では、うまくいきそうにありませんから、別の道を開拓する必要があります。
しかし別の明るいビジョンを描くことなど、簡単にできることではありません。一人では無理でしょうし、同じ集団の人たちだけではむずかしいでしょう。新しい人を入れて、方向を変えていくしかなさそうです。民間で活躍する人たちの力が不可欠になります。
岸田政権になって、官僚の力が強まっていたことは、多くの人の知るところでした。官僚中心の政策ですから、安定しているとの評価もありえたでしょう。しかし、ここから新しいビジョンが生まれることは考えにくいことです。方向を変えなくてはなりません。
3 新しいリーダーのチャレンジに期待
すでに組織経営で苦労しているところが増えています。2023年からはアフターコロナとなったとも言われていました。しかし、一度大きな混乱に陥った社会が、簡単に元に戻るわけありません。特にサービス業などで経営に苦しむのは、当然考えられることでした。
コロナ渦の数年で、生活様式まで変わった領域もあります。一時的な補助ではやっていけないでしょう。ただの効率化では限界があります。その結果しばしば、いままでとは違うやり方に変えてみませんかという話になるのです。少しずつ始まっています。
新しい試みを小さなところから始めて、徐々に拡大していくというのは常道と言ってよいでしょう。現場の若いリーダーたちから、どうすればよいのかという相談が、昨年から増えてきていました。彼らの提案が採用されることが多くなっています。
厳しい環境にある業界で、未だに何とか踏みこたえている会社の場合、トップが現場にやってきて、若手のリーダーにチャレンジさせているケースが目立ってきました。政権交代によりブレーンが変わり、新しいリーダーたちの活躍の場が広がることを願っています。