■鍵になる良い入門書:新たな専門領域の開拓のために
1 いきなり専門書は読めない
またか、という感じですが、少し時間ができたから勉強したいと思うのだが、やはり若いうちに基礎を勉強しておくべきだったという話がありました。いきなり専門的な本を購入して、それを読もうとして挫折したとのことです。当然のことだと思います。
若い時に勉強したか、しないかは関係ないことです。いきなり専門的な本が読めると思う方がおかしいでしょう。ずいぶん前のことですが、その分野で業績のある学者の方が、多方面の本を読んでいらっしゃいました。知識よりも、発想が役に立つとのことです。
おやりになっていたことは、当たり前のことでした。基礎的な本をきっちり読んでから、その分野の教科書的な本を読んでいきます。それでもわからないことが多い場合、わからなさを参考にして、別のわかりやすい本を探してきて、そちらを先に読んでいました。
2 よい入門書を探すのがポイント
専門家の中でも、飛び抜けた人が入門書的な本を書いていることがよくあります。そうした出来のよい入門書を探すことが大切です。逆に言うと、そういう入門書が見つからないと、その分野の本を読むのに苦労します。よい入門書を探すのがポイントです。
おそらく専門家が、この本はよい本ですよと、どこかで話していたのでしょう。前述の人は、それを聞いて、いきなり専門書を購入して、なぜか、すぐに読めると思ってしまったようです。しかし読めないほうが自然でしょう。いきなり専門書は無理です。
しかし挫折したと言って、あっさり撤退してしまうのは、よくあることとはいえ、こんな調子では読めるようになりません。本当に読む気があったのかどうか、疑わしくなります。読めないから、読めるようになる工夫が必要です。それだけだと思ます。
3 よい入門書を探す練習が必要
入門書を探すことは、楽しいはずですが、そうでもないのでしょうか。それではどんな入門書があるのか、教えてほしいという話でした。たぶんこれだと、専門書も読みはしないでしょう。何で自分で探さないのか不思議ですが、最初に書いたように、またか…です。
自分にとって役に立つ良い入門書など、そんなにはないでしょう。しかし探せば、かなりの確率で見つかります。この場合、自分がある分野に入り込むための鍵を握っている本を、どうやって探すのか、その探し方の練習をしなくては、見つからないでしょう。
いくつかの図書館に行き、本屋さんに行き、古本屋さんもまわりということは、手間もかかります。そこまでしたくないという人は、新しい分野の勉強をするのは、難しいかもしれません。検索でさっと調べてしまう人がいます。しかし限界があるはずです。
専門書はいらなくなった、必要なときには検索をかければよいと言った実務家の人がいました。この人は自分の専門分野のテキストが作れませんでした。生成AIが進歩しても、新たな専門分野の勉強をする場合、入門書選びから始めるべきだと思います。