■色相環、三原色、基本色:再び色について
1 色相環の色区分
基本色という概念は、あんがい曖昧で、アテにならないというお話をしました。私が見たテキストでは基本色が10色選ばれていました。色相環をどう区分するかについて、書きませんでしたが、多くの場合、色相環は20色か24色かに区分されています。
ありがたいことに、色彩感覚に特別優れた画家の方が、コメントをくださいました。基本色を考えるときに、三原色と色相環を関連させて、三原色とその補色で6色、その中間の色を考えて12色になるはずだとのこと。確認してみてとのことでした。
武蔵野美術大学通信科のHPを見ると、マンセル色相環、オストワルト色相環、PCCS色相環の3種類があげられています。最初のものが20色に区分され、あとは24色に区分されています。色相環の2系統を反映して、基本色が10色と12色になったようです。
2 色相環から考える12色
12色の基本色を考える場合、PCCS色相環で言うと、イエローが8番になっています。あとは自動的に16番と24番が三原色ということです。16番がグリーニッシュブルー(緑系青)、24番がレッドパープル(赤紫)になっています。これが色材の三原色です。
それぞれの補色が20番(バイオレット)、12番(グリーン)、4番(レディッシュオレンジ:赤橙)となって、これで6色になります。この中間色が6色ありますから、これで12色になります。こちらの方が、三原色と色相環との関連がわかりやすいでしょう。
一覧にすると、【2番:赤、4番:赤橙、6番:黄橙、8番:黄、10番:黄緑、12番:緑、14番:青緑、16番:緑系青、18番:青、20番:青紫、22番:紫、24番:赤紫】です。この12色は、三原色から導き出せます。画家の感性にも合っているのでしょう。
3 12色は合理的な色数
なぜ基本色が使えなかったのか、みょうな感じになりました。10色の基本色と三原色の相性は、少なくとも使う側にとっては、よろしくありません。10色が浮き上がってしまいました。その結果、実際に使っていたのは、3原色とその補色の6色でした。
今回わかったことは、画家は、もっと細かく12色が自然に使いこなせていて、それを基にして、そこから微妙な色合いを作っていたのだろうということです。三原色なのですから、3の倍数なら安定する…当たり前のことに気がつきませんでした。
ビジネス人が文書作成をするときに、色合いを気にすることがあります。このとき三原色と色相環の話をしてきました。補色の話をして、さらに赤などの暖色が前に迫って見え、青などの寒色が遠ざかって見える、色彩の遠近感について語ってきました。
濃淡や同系色の使い方、グレートーンの話などを加えて話してきましたが、もしかしたら色彩感覚を磨くために、12色というのは良いのかもしれません。基本色を使わずに来ましたが、この12色なら意味がありそうです。まずは自分で検証してみたいと思っています。