■基本色というもの:油絵の具での事例

      

1 3原色

3原色というものがあります。光の3原色ならば「赤・緑・青」になるでしょう。これらの3色を混ぜると、白になります。最近は3原色というと、光の3原色を言う人が増えてきました。色の3原色はまた別にありますが、こちらは答えにくいのでしょう。

かつては色の3原色と言えば、「赤・青・黄」といわれていました。最近は色に関する検定や、何らかの形で3原色の話を聞く人が増えてきたためか、「赤・青・黄」ではないという人が多くなっています。では何だったのかというと、簡単に答えが出てきません。

色の3原色は「マゼンタ・シアン・イエロー」です。「マゼンタ」は、赤そのものよりもピンクにちかい色をしています。「シアン」は青というより水色といった感じの色です。これに黄色が加わります。「い・し・まぜ」と覚えるのだという人もいます。

     

2 基本色という概念

光の3原色と違って、3原色の「マゼンタ・シアン・イエロー」を混ぜると黒になるのはご存知のことでしょう。印刷の場合、これら3色にブラックが加わって様々な色が作られています。こうした原則をもとにして、基本色が決まっているようです。

色相環というリングを見ると、光の波長による色の違いに基づいて色が並べられています。基本色と言われるのは、「赤・黄赤・黄・黄緑・緑・青緑・青・青紫・紫・赤紫」の10種に加えて、「白・灰色・黒」の3色が加わったもののようです。

「赤・黄・緑・青・紫」を基幹として、並んでいることがわかります。赤外線、紫外線ということからすれば、ここまではわかあります。しかし絵の具を選ぶときに、どんな基本色をそろえればよいのか、油絵の具の場合、どうなるのか、簡単な話ではありません。

    

3 油絵の具の「基本色」

油絵の絵の具をそろえようとする場合、最初にそろえるべき色が基本の絵の具だということになります。それほどたくさんの絵の具ではないはずです。こういう絵の具の基本の色ですから、基本色という言いかたをします。正確な言いかたではないかもしれません。

実際にそろえる場合、基本の色はこれですよと、固定的なものにはならないはずです。明確な基準がないということになります。こういうときに参考にするのが「武蔵野美術大学・通信教育課程」のHPに示されている20色の絵の具です(2008年作成)。

▼白:1)シルバーホワイト・2)チタニウムホワイト/黒:3)アイボリーブラック/赤系:4)ヴァーミリオン・5)カドミウムレッド・6)ライトレッド・7)カーマイン・8)クリムソンレーキ/青系:9)セルリアンブルー・10)コバルトブルー・11)ウルトラマリン・12)プルシャンブル―/緑系:13)カドミウムグリーン・14)ヴィリジャン・15)テールベルト/黄系:16)カドミウムイエロー・17)イエローオーカー/茶系:18)ローシェンナー・19)バーントシェンナー・20)バーントアンバー

しかし、この選択に同意する人は少数です。アイボリーブラックはカビが生えやすいので使えませんし、その他も個人差があります。色相環や3原色は使えますが、基本色という概念は、実際にはほとんど使えません。絵の具に限ったことではないと思います。