■マネジメントの用語について:小西甚一流「太っ腹文法」を参考に

     

1 「太っ腹文法流」術語の把握法

少し前のことになりますが、生真面目なビジネス人から問われたことがあります。マネジメントやビジネス書を読んでいると、ビジョンとかミッションとかコンセプトといった用語が出て来るけれども、定義が明確になっていなくて、不安になるとのことでした。

たしかに、ビジョンとはこういうものですと定義されている本は少ないかもしれません。その時、文法用語も明確な定義がないことがあって、戸惑うことがありますが、小西甚一が太っ腹文法という言い方をしていて、なんだか納得しましたよと答えました。

『古文の読解』で小西が問題にしているのは、[文法学者たちは、めいめい勝手な術語を使う]ため[術語の不統一]が生じていることです(p.195)。しかし[意味なんか知らなくても][見当はつく]から[何もかまうことはない]と書いています(p.197)。

      

2 自分流の定義を作ること

概念を自分なりに理解して、その概念を自分流に定義して読んでいけば、その定義が間違っているかどうかもわかってくるはずです。それで問題ないということになります。まじめな人にとっては、妙な感じがしたかもしれません。これは仕方ないことです。

用語が様々な意味に使われてしまったあとになって、用語の概念を整理することもあります。ここでの意味は、こういう概念を示していると判断できなくては、多義的な言葉を使った文章が理解できなくなってしまうでしょう。文脈からの判断も必要になります。

たしかに基本用語の概念が不明確なままでよいとは言えません。しかし、実際には統一的な定義がなされていませんから、これは仕方ないのです。もしビジネス書でも、マネジメントの本でも、読む価値があると考えるなら、太っ腹文法流で行けばよいでしょう。

     

3 ビジョン・コンセプト・ストーリー・戦略

あの時、ビジョンとコンセプトの違いを聞かれたはずです。ビジョンを明確に一義的に定義することはできませんが、ビジョンというのは洞察だと思いますと答えました。現在の状況の実体を洞察したり、将来のあるべき姿を洞察したものだということです。

コンセプトというのは、現状ではなくて、将来の目印、あるべき姿を静的に具体的な状態で表現する言葉だと思います。ビジョンと重なる点があるはずです。一方、コンセプトに対して、目印までのプロセスを示す動的な概念がストーリーだと思っています。

これは一般化できる定義ではないかもしれません。私なりの定義です。それでも、こう定義しておくと、自分なりに頭が整理できます。ビジョンがあるからコンセプトが出てくるのです。目印を表すときにはコンセプトという用語を使うとの判断基準が出てきます。

コンセプトがなくてはストーリーは作れません。そしてまた、戦略という用語の概念は「コンセプト+ストーリー」であると考えられるのです。したがって戦略を生むためにはビジョンが必要だということになります。自分で概念を定義することは役に立つのです。

     

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