■「仮説⇒実行⇒検証」をどう実践するのか:「文書のスタイルと内容」再論

     

1 仮説を立てる前提

前回書いた「文書のスタイルと内容」について、以前このことを直接お話ししたはずの人から、意味がわからなかったと言われました。どうもいけません。何回かに分けて書くべきことを、一気に書いてしまいました。そんなに複雑な話ではありません。

解釈するなら、事実に基づかなくてはならないということです。事実でないものを基礎にして、その可能性を語っても、評価されません。たくさん書いたからといって、努力賞がもらえるわけなどないでしょう。基礎とするものが事実かどうかが絶対的に重要です。

もし基礎とすべきものが、事実でなかったらどうすべきでしょうか。事実でないということを明確にして、どういう扱いをしたらよいのかを検討しなくてはならないということです。これができていないと、仮説を立てる場合にも、困ったことになります。

      

2 「仮説⇒実行⇒検証」というサイクル

新しいことを作り出すときに、「仮説⇒実行⇒検証」というサイクルが重要であると、お聞きになったことがあるでしょう。仮説を立てたら、それを検証する必要があります。実行することによって、その評価ができることになるということです。

「仮説⇒実行⇒検証」というのは、その通りだということになります。では、このサイクルをどう回していったらよいのでしょうか。まず仮説を立てなくてはなりません。仮説をどう立てるのかが問題です。仮説ですから、確かではないことが含まれています。

確かなことの中に、確かでないことがあるわけです。何が確かでないのか、どんなふうに確かでないことなのかが問われます。「AならばBになる」という仮説ならば、AとBの状態は確かで安定していて、AからBへの移行が成立するかが問題です。

      

3 方法・測定・尺度・基準

新しい仕組みを作ろうとして仮説を立てる場合、Aという状態があることが確かであること、Bという状態が確かであることが前提になります。Aの状態であるときの要件は何でしょうか、Bの状態であるときの要件は何でしょうか。それが問題になります。

さらにAからBへと変えていくために、どんな手順が必要になるかでしょうか。仕組みを作るのなら、方法が示されていることが必要です。Aになれば、自然にBへと移行していくのであれば、どんなふうに移行していくのか、その検証が必要になります。

ビジネスの場合、「Aができたら、Bまで持っていけるだろう」ということがあるはずです。それを安定的に達成するためには、ある方法に基づいて事をなす必要が出てきます。この場合、Aという状態、Bという状態を測定することが必要です。

実行したら、測定できなくては検証できません。測定するだけでなくて、それを評価する尺度と基準が必要になります。検証の仕組み自体が明確でなくてはならないのです。文書はこうした仕組み、スタイルに沿って記述されなくてはならないということになります。

      

カテゴリー: 方法 パーマリンク