■思考の整理について再論

      

1 思考のまとまりをシンプル化すること

思考の整理について、前回書いたものでけでは、よくわからなかったと言われました。講義での話が前提になっていましたから、あれだけではわからないということのようです。講義直後だったせいなのか、そのときの話を引きずったまま書いてしまいました。

講義とは関係なしに、思考の整理についてもう一度書いておきます。思考を整理するということは、意識してやらなくてはなかなかうまくいきません。その場で詰めて考えることもあるでしょうし、ずっと考えている中で、ある時思いつくこともあるでしょう。

ある種の考えがまとまって、それを整理できたなら、シンプルな形になります。シンプルな形になるまでは、まだきちんと思考がまとまっていないということです。では、どうやってまとまっていくのでしょうか。少しその過程を考えてみたいと思います。

      

2 思考の断片を確認すること

思考をまとめていく方法を標準化するのは、おそらく無理でしょう。手法は各人違うほうが自然です。私の場合、思いついたキーワードやキーフレーズを書いていきます。自分で書いた言葉からの連想で、別の考えが思い浮かび、それが反応することがあるのです。

書かなくても、頭の中で、同じようなことをしていることもあります。ふと何かが結びついたときに、それを書いておかないと忘れてしまうでしょう。思考がまとまっていない段階では、ぼんやりした存在でしかありません。そのため筆記具を持ち歩くのが習慣です。

思考というものはたいてい言葉によってなされるものです。言葉が浮かんできて、それがまとまっていくということになります。ある切り口から断片が見えてきた場合、その断片を紙に書いて、自分でその内容を確認することが大切です。

     

3 他人にもわかる形式での整理

こうしてまとまる過程は、断片から徐々に全体が見えてくるといったところでしょう。そんなイメージです。見えてくるというのと、思考が整理されたというのとでは違いがあります。整理することが重要なポイントです。他人でもわかることが大切になります。

自分でわかっていても、自分以外がわからないままの形式では、まだ整理されたことになりません。じつのところ、自分もわかっていないのです。整理できればシンプルな形式になります。逆に言えば、わかりやすい内容になっていたらシンプルなのです。

単純なものなのに真実だと思えるもの、複雑であっても全体が統合されていてわかりやすいもの、そういう形式になったなら、思考が整理されたことになります。思考を整理するときに言葉になるのか図になるのかは、効果的な方が選ばれるということでしょう。

      

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