■属人的な強みを組織に取り入れる方法:指導者用のマニュアルの効用

        

1 組織と属人的な強み

小規模な組織であるなら、属人的な仕事ぶりがウリになることはめずらしくありません。どのくらいの規模までなら、それがよくあることなのか、微妙な問題です。いずれにしても、すぐれた人がいる組織はうまくいっていることが多いように思います。

ところが上場していて、ある業界で強い会社の場合、小規模な組織とはもはや言えないでしょう。こうした会社の中に、歴史的にこの部門が強いという評価がなされている組織があります。もしかすると何か組織的な強みがあるのかもしれません。

いくつかのケースを見ると、サービスに関する強みは、ほとんどが属人的な強みと関連しているように感じます。あの人が、あるいはあの人たちが部門のトップにいるから、あの組織のあの部門は強いということがきわめて多いのです。

       

2 組織の改編で卓越したサービスが崩壊

新型コロナの感染が広がって以降、組織の改編が起こりやすくなりました。お客さんがいなくなれば、社員を遊ばせておくわけにもいきません。別の需要があるならば、そちらに人を振り向けてということは、当然やらなくてはならないことです。

こうやって別部門の仕事をするときに、伝統的に強かったはずの会社のある部門のことが見えてくることがあります。ちょっとした偶然から、そうした人たちから相談があったのです。たった一人がいなくなっただけで、仕事の質が激変することがわかりました。

あの人がいるから、この仕事がうまくいくというのは、仕事のできる若手なら当然のようにわかっています。その中核の人が、なんらかの理由で組織から離れる事態が起きたとき、若手に動揺が広がり、それを収めるのはほとんど無理なようにも見えました。

      

3 指導者用のマニュアルが必要

あれだけ出来る人がいるのですから、その人の負担を少しでも減らして、その分を若手の教育にあてておけばよかったのに…というケースが多いのです。部門の中核の人は、その前の中核の人から学んでいました。幸運にも卓越した人が重なって誕生したのです。

伝統的な強さの実態は、たまたま二人の優れた指導者が部門のトップをうまくバトンタッチでつないで、数十年にわたって信頼を作ってきたことにありました。これは偶然とも言える幸運だったと言えるでしょう。ところが会社側は、組織の強味だと見ていたのです。

指導者用のマニュアルを作っていたら、指導者の側もカンで指導していたことが、もっと明確になったことでしょう。もっと層の厚い、指導のノウハウをもった組織ができたはずなのです。指導のノウハウを持つことが、組織の強味になると思います。

      

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