■いわゆるOJTマニュアルについて:業務マニュアルとの違い

       

1 仕組みと個別プログラムの違い

OJTマニュアルという言葉が定着していません。トレーニングマニュアルという言い方もあるようですが、いずれにしても、実態があまり明確に定義されないでいます。仕方ないかもしれません。実際に作っているのは、ごくわずかな組織だけです。

業務マニュアルの場合、仕組みを構築して、それを業務に展開するものです。標準的な仕事の仕方ですから、価値評価の基準は全体最適ということになります。こうすれば全体として成果が一番上がると思うという仕組みを作ることが目的だということです。

OJTマニュアルの場合、直接指導する個別の人たちが対象となります。その人たちがうまくいく方法を考えることです。個別プログラムと言ってよいでしょう。業務マニュアルの場合、業務に関わる人の全体が対象ですが、それよりも範囲が狭くなります。

       

2 2系統のトレーニング

OJTマニュアルの場合、2系統のトレーニングがあるという認識が必要です。一つは、標準的な業務をなるべく素早く身につけるためのトレーニング用のものです。もう一つは、飛び抜けた能力を発揮してもらうための個別トレーニング用になります。

両者の関係は、ピラミッドの基礎の部分と、その上の部分との違いです。新しく仕事を覚えるときには基礎を身につけなくてはなりません。これが飛躍のための前提条件になります。効率のよいトレーニングが必要不可欠と言ってよいでしょう。

一方、プロの演奏家にしろオリンピック選手にしろ、すぐれた指導者のもとで練習をするのが一般化しています。指導者がいなくては、飛躍することはむずかしいのです。組織では、その指導法をノウハウとして持っていることが大切になります。

     

3 教えながら学ぶための方法

基礎というものは、当然のようにベースにあるものですから、基礎を見て、その先の飛躍を考えるというのが一般的なアプローチといえるでしょう。しかし実際の状況を見ると、少し違ってきます。飛躍した人が何を基礎にしてきたかが大切になるのです。

指導する側も、この点を十分に理解しておく必要があります。訓練法がすでに確立されている分野なら別ですが、つねに変化する業務の場合、飛躍した人を育てられるようにならなくては、基礎的な訓練法を確立することができないのです。

飛躍した人を育てることが指導する側の目標といってよいでしょう。そのためには自分のレベルアップをつねに考えなくてはなりません。教えながら学ぶことになります。自らを飛躍するためにも、その方法を記述して検証していくことが不可欠だと言えるでしょう。

       

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