■主題概念の問題点:主体を意識する必要についての説明を補足

     

1 主題概念での説明

昨日「文を主題概念で捉えることの問題点:日本語文法の忘れ物」という文章を書きました。説明不足だったようです。主題概念で日本語の文を分析しようとしても、文をよくするためには役立たないということでした。主体を意識したほうが良いということです。

(1)【勉強会は新しい人たちが増えて活発にやっています】という例文であれば、問題なく通じる日本語の文だと言ってよいでしょう。そうなると、この文を説明するのに都合のいい分析法が採用されてもおかしくありません。主題概念はその点、便利でしょう。

主語述語で考えると、「勉強会は」と「新しい人たちが」が主語になりそうです。何だかめんどくさそうな感じがします。この点、主題概念は便利です。【勉強会は新しい人たちが増えて活発にやっています】の主題は【勉強会は】であり、その後は解説になります。

      

2 文末の言葉が文の意味を確定

主題概念を導入すると、日本語の文が簡単に説明できるような気がしてきます。主題と解説にわけて考えるのです。主題には原則として「は」がつきますから、判別もしやすいでしょう。日本語には欧米流とは違う論理が成り立っているということかもしれません。

しかし例文【勉強会は新しい人たちが増えて活発にやっています】を読んで、気になる人もいるでしょう。「活発にやっています」とあれば、この主体は「勉強会」ではないと感じます。「新しい人たちが増えて、勉強会を活発にやっています」と感じるのです。

(2)【新しい人たちが増えて、勉強会を活発にやっています】の方が明確でしょう。主体が勉強会ではないことが明確ですし、「私たち」が主体だろうと推定できます。文末に置かれた言葉が文の意味を確定しますから、文末の主体がわかりにくいと困るのです。

      

3 簡潔で明確な文の構造

日本語の場合、文末が文の意味を確定する点が重要なポイントになります。文末が「活発にやっていました」ならば、過去そうだった、いまは微妙な感じです。「活発にしたいです」ならば、希望になります。文末がその前の内容を規定して、意味を確定するのです。

文末が文のかなめになっています。この点、(1)【勉強会は新しい人たちが増えて活発にやっています】の場合、文末との対応が希薄です。「勉強会は…やっています」「新しい人たちが増えて…やっています」というのは、対応している感じがしません。

この点、(2)【新しい人たちが増えて、勉強会を活発にやっています】ならば、「勉強会を…活発にやっています」が対応しています。その前の「新しい人たちが増えて」というのは、「増えたので」という条件が示されているのだと、わかるでしょう。

(3)【新しい人たちが加入して、勉強会は活発になってきました】の場合、この文の中核が「勉強会は…活発になってきました」だとわかります。文末の主体が明確です。主体を意識しておくと、文を簡潔で明確な言い方にしやすくなると言いたかったのでした。

     

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