■業務マニュアルをシンプル化した話:服装の規定

     

1 服装についての規定

業務マニュアルをシンプル化することは、とても大切なことです。シンプルでないと守れません。あまりに複雑に記述されてしまうと、読むことさえ嫌になるでしょう。強制力が働かない限り、そんなマニュアルは読まれません。それでは意味がないでしょう。

もう何年か前のことですが、サービス業界でお仕事をされている方から、新規の事業を始めるに際して、他部門のマニュアルをどう使ったらいいのかご相談がありました。服装についての規定が、ものすごく詳しいのです。これでは読まれません。

細かい規定に基づいて、チェックをする人がマニュアルを読んで苦労していました。これはよくないという判断だったのでしょう。どうしたらよいでしょうかというお話でした。答えは簡単です。シンプルに書かなかったら、読まれませんね…。

    

2 シンプル化するときの定番のやり方

読まれるようにするためには、シンプルにすることです。そのとき、考える余地のないものではダメです。自分たちで考えてみるように誘導したほうが、よいでしょう。そんなお話をしました。どうすればよいのか、このあたり、定番のやり方があります。

自分たちのサービスはどんなものであるべきか、お客様から、こう思って欲しいというものがあるはずです。それにふさわしい服をということになります。これをシンプルに記述すれば、数行で済んでしまうのです。そこから始めます。

つぎに、ありがちなNGを3例示して、なぜこれが好ましくないのか、その根拠を記すことです。数行と3つの事例のみで十分になります。実際のところ、こちらの方が数段よい結果が出ました。明確な基準がない事柄の場合、あとは個別対応のほうが良いでしょう。

     

3 信頼される服を追求した事例

これは別の例ですが、ある時リーダーになった人が、前記のようにシンプル化したマニュアルを記述することになりました。当然、こういうサービスのためにという趣旨を考えたのです。それにふさわしい服を…と書きました。これが思わぬ結果になったのです。

その人の今までの服装が規定に反するなどということはありません。きちんとしている方ですから、問題ないのです。ところが、先の規定を記述することで、スタイルを見直すきっかけになりました。自分の服は、自分の好みを優先させていると感じたそうです。

オシャレな方でしたから、自分の好みを取り入れていたのですが、それをやめてお客様から信頼される服を追求しはじめました。自分の好みの服はプライベート用になり、それとは全く違った服になったのです。どうなったかお分かりでしょう。効果抜群でした。

  

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