■マニュアルの電子化がマニュアル作成の変化をもたらす

    

1 必要項目へのアクセス方法

やっと講義用のテキストを作成し終えました。今回は「マニュアルの電子化と動画活用講座」という、いつもと少し違った切り口の講座です。マニュアルを電子化する場合、どういう点に気をつけたらよいのか、動画をどう活用したらよいのかというお話をします。

会社によって取り組み方が違っているとは思いますが、まだ10年前だと、電子化ということの意識があまりありませんでした。その頃の電子化されたマニュアルは、紙のマニュアル用に作られた原稿をPDFにして、そのまま閲覧するものが多くみられました。

もともと紙用に作られたマニュアルを電子化すると、使い勝手がよくなくて、ほとんど使われない状況になります。最初に起こる問題は、たいてい必要項目へのアクセスに関することです。今でも、必要項目へのアクセスが問題になっています。

     

2 ユーザー側の加工

紙のマニュアルの場合、使い慣れてくれば、このあたりだろうと予測がつきますし、しばしば使う項目のところに付箋をつけるなどの加工が容易です。しかし電子化されたマニュアルに、こうした加工が容易にはできません。

技術が進歩したために、利用者側が加工することもできるようになっています。しかし、紙のときのように、簡単に自然な感じでの加工はできません。効果的な加工はしにくいままです。その結果、作成者側のつくり方が、使い勝手にそのまま反映されてしまいます。

紙のようにユーザーが、このあたりにあるなあといった使い方ができません。電子化された場合、検索によって必要項目に到達するというのが一番使われるアクセス方法になります。したがって項目名に、必要なキーワードを埋め込んでおかなくてはなりません。

意識して項目名を作らなくてはならないということです。さらにその項目がどの場所にあるかがわからないと、マニュアルのすべての項目を検索することになってしまいます。それでは候補がたくさんピックアップされてしまいますから、一工夫が必要です。

     

3 全体構成と項目名の工夫

最初から利用する領域がどこになるのか、見当がつくように全体構成をしていく必要があります。いままで紙で作っていたときの構成とは違った発想が必要になるはずです。実際、電子化を前提にマニュアルを作成すると、紙のときとは違ったものになるでしょう。

利用者の感覚に寄りそって、どういう全体構成がわかりやすいのかを考えなくてはなりません。必要項目の絞り込みが容易になるように、全体を構成し、さらに項目名にピックアップしやすいキーワードを埋め込むことが必要になります。

ここまでは基礎の作業というべきことです。これを解決しないと、その先に行っても、利用しやすいマニュアルにはなりません。こうしたことは、あたりまえの基礎作業に見えます。しかし、そうした構成になっていないマニュアルが、まだいくらでもあるのです。    

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