■マニュアルの電子化:マニュアル作成のツールについて

    

1 マニュアル作成ツールの開発

マニュアルを作成するためのツールというものがあります。すでに十数年前にも何種類かの製品が出されていました。アベノミクスが始まったころ、新たな開発がなされていたのです。これらをマニュアルのプラットフォームにしようという意図があるようでした。

当時、マニュアルの電子化が進んでいましたから、ツールがあれば便利だろうという発想は、ユーザー側にもあったのかもしれません。同時に、マニュアル作成ツールで何とかなると考える人が、そんなにいるのだろうかと思いました。妙な感じがしたのです。

いまだに、あの頃開発していたものとあまり変わらない製品の案内が来ます。10年程前、これでは使えませんと申し上げた製品が今年に入って、やっと販売中止になったという話も聞きました。ささやかな程度のことですが、若干のかかわりがあったものです。

     

2 無理な売り込み事例

最初から、ボタンのかけ違いがあったように思います。マニュアルをきちんと作ったことのない人が中心になって、ツールを開発していました。アドバイスをするように、あるいは方向を与えてほしいといわれて、マニュアルのツール開発の勉強会に参加したのです。

しかし、これは続かないと思いました。自分たちに都合のよい話がないか、それが気になっていたようです。倫理的な問題を感じて、手を引くことになりました。ある業界のトップ企業へ、強引な売り込みをするのを見て、限界が来たと思ったのです。

売り込みの際に、あれもこれもできますと、実際とは違う期待を抱かせて受注にこぎつけてしまいました。結果がどうなるかは、お分かりでしょう。当然、大失敗します。相手企業も、最初ですからささやかな導入だったはずです。幸い損害は限定的でした。

     

3 存在しない魔法のツール

マニュアルで大切なのは内容です。しっかりした内容が記述できるくらいの人ならば、効果的なレイアウトも考えられます。そういう人なら、WORDがあれば十分良いマニュアルが作れますし、それをPDF化すれば完了です。形式は自分たちで作る必要があります。

マニュアルの作成ツールが必要だという人は、もはやほとんどいないでしょう。マニュアルの「最新事情」という言い方で、ツールを気にする人がたまにはいます。利用するにしても、補助的な利用にとどまりますから、そう気にしないでいいでしょう。

本文を考え、レイアウトを考え、見せ方を工夫するということが中心的な課題です。この段階で一定水準に達するかどうかが問われます。ここが簡単でないから問題なのです。それができるなら、あとは自由でしょう。魔法のようなツールなどありません。

    

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