■ビジネス文書に必要なこと:梅棹忠夫「学術論文の質の向上のために」

       

1 梅棹の主張を自分の立場に関連させて

梅棹忠夫の『情報管理論』のなかにある「学術論文の質の向上のために」を、ずいぶん前に読んでいました。内容に関して、その通りと思ったはずですが、そのままにしているうちに、記憶から消えてしまったようです。驚くしかありません。

改めて読んでみて、この本に触れないわけにいかないと思って、前回のブログに書いてみました。ただし前回は一般的な話を書いただけです。もう少し自分の立場に関連させて、思ったことを書いておくべきだという気もします。いくつか反省する点がありました。

同時に梅棹と相容れない点もあります。梅棹の場合、日本語から漢字を排除すべきという考えです。ローマ字で記述したほうがいいと主張しています。今後その方向に行くことはないでしょうし、それは妥当であり当然ですから、ローマ字化は無視します。

     

2 迅速・明晰・簡潔さの重要性

自分に引き寄せて考えるとき、問題になるのは学術論文ではなくて、ビジネス文書になります。そのとき無視できないのが、[迅速さ、明晰さ、簡潔さ](p.17)についてです。シンプルで論理的な文章で記述できなくては、正確でかつ迅速に伝わりません。

梅棹は[私が理学部にいたころは、論文は簡潔にかけときびしくいわれた。ながい論文はだれもよんでくれないというのである](pp..15-16)と記した上で、[よく理解できることがたいせつなのであって、みじかいことがたいせつなのではない]と言いました。

[文科系の論文には、まったく冗長をきわめたものがある](p.16)といい、[ながくなるひとつの理由は、引用がやたらに多いからである]と記しています。備忘録のブログでは引用は不可欠だと思いますが、ビジネス文書なら、その通りだと言うしかありません。

      

3 ビジネス文書の質の向上のために

ビジネス文書の場合、処理したら文書の本来の任務は完了となります。まさに迅速・明晰・簡潔であることが必要です。必要ならば、注をつける形で別のパートに書いておけば足りるでしょう。じつはブログの書き方も、少し変えてみようかと思ったりしました。

興味のある人にとって、引用部分は不可欠なものでしょう。適切な引用によって、オリジナルがどこにあって、文脈上からも文意の読み取りが妥当であると示すことができます。しかしそれを別の場所に記すことも考えられると、今回いささか反省しました。

梅棹はまた、大学でも大学院でも[学術論文のかきかたについて、具体的に指導を受けたことは一どもない]ケースがあることを言い、その前の中学、高校の段階でも[論理的な日本語を書く訓練がほとんどおこなわれていない]点を指摘していました(p.22)。

もっと効果的な訓練法を構築して、それを提示しなくてはならないと、ずっと思っています。実際、その工夫がかなり進んでいたのです。いま何人かで実験をしています。ビジネス文書の「質の向上のために」何かができたらと、あらためて思いました。

     

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