■ドラッカーと田中美知太郎の時間の使い方: 優先順位の方法

    

1 今年度2回目のめずらしい経験

同じ時期に2種類の研修テキストを作っていました。偶然の巡り合わせと言うしかありません。こんなことは、めずらしい経験のはずですが、今年度、2回目になります。コロナの影響で仕方なかったことですし、何度もしたくはありませんが、貴重な経験でした。

2つの締切が数日で重なっているとき、両方をいっぺんに行うことは、かなり難しいことだと、改めて思いました。切り替えをしながら、同時並行的に進めるのは無理です。そのためA・Bのテキストを、期間で分けて作ることになりました。

しかしテキストAを提出した後、翌日から始めるはずだったBのテキストが、どうもうまく進みません。一日、別のことをして頭を切り替えることになりました。何かしら、他にない独自なものを入れようとすると、そうとうエネルギーを使うようです。

     

2 ドラッカー『仕事の哲学』

何かあったなあ…と思って、あれこれ思い出そうとするうち、ドラッカーの『仕事の哲学』の帯に目が行きました。ドラッカーは時間について、あれこれと書いています。そのいくつかは、たぶん私には妥当しないものです。しかし、この言葉は身に沁みます。

▼時間と労力と資源を集中するほど、実際にやれる仕事の数と種類が多くなる。これこそ、困難な仕事をいくつも行う人の秘訣である。一時に一つの仕事をする。その結果、他の人よりも少ない時間しか必要としない。成果を上げられない人の方が多く働いている。 『経営者の条件』 (『仕事の哲学』p.182)

ある時期、時間を集中投下しないと、お話にならないものしかできません。これは経験から明らかです。ドラッカーの示したルールでは、これを[一時に一つの仕事]と決めて、[時間と労力と資源を集中する]という言い方になります。まさにその通りです。

この言葉が収められているのは、「時間管理」の章ではありません。「優先順位」の章です。この章には[どの仕事が重要であり、どの仕事が重要でないかの決定が必要である](p.171)という言葉もあります。時間は有限ですから、選択が必要なのです。

     

3 配合を求めること

今回はわりあい重なって、二回も似たケースになりましたので、二回目は前回よりもうまくいきました。『私の読書法』(岩波新書)で田中美知太郎が「ノートをとる場合と配合を求める時」を書いています。これを読んでいたので、ああこれかと思いつきました。

田中が「配合を求める」というのは、自分の専門領域とは違う分野の読書を取り入れるということです。違った分野の本を読むことが、思わぬところで役立つという主張でした。今回、テキストAが終わって、すぐにテキストBには行けませんでした。

それで今回、少しだけ三上章の本を再読したのです。主語に関するところなど、高校時代、馬鹿らしいロジックと思ったのですが、これが通説的見解になっていますから、すごいことです。今回は主語とは違ったところに、面白いところを見つけました。

こうした主張の違う本ですから、意見が一致することなどありません。しかし興味深く読むことができました。ドラッカーや田中美知太郎のルールは正しいようです。そう実感しました。もう少し時間の使い方を工夫できるだろうと、あらためて感じています。

     

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