■老舗の若手リーダーの心配事:ずれた経営方針

     

1 何で人は仕事をやめてしまうのか

業界の一番の老舗といってよい会社のことで、ちょっとした相談がありました。いささか驚いたことがあります。すでにコロナのトラブルが解消されたときのための準備を進めているとのこと。わからなくはありませんが、しかし大きなタイムラグがあります。

まだしばらくコロナの影響はつづくでしょう。ところが緊急事態というべき状況が続くことに、経営側がうんざりしたらしいのです。組織を徐々に前の体制に戻しています。しかしお客さんは同じようには行動しませんから、当然、この過程でトラブルが起こります。

いらない準備が多くなったというのが、若手のリーダーの心配事でした。心配事が現実になってきているという話です。辞める人が多いということでした。それだけではありません。やめた人のレベルの人を新規で集めることは、もはや無理だということでした。

何で辞めるかといえば、無駄なことに労力を使うこと、つまりは成果が見えないことをするのが嫌なのです。これは人間性に基づくものでしょう。もっと今やらなきゃいけないことがあるのに、別のことをやっていて、その効果がないというのは嫌なのでしょう。

      

2 能力の高い人がいるのは普通でない状況

老舗ですから、能力の高い人が当然のように存在しています。これは、老舗ならではのことでした。ところが面接をする採用側の焦り方は尋常ではないようです。もう経験者は転職してきません。そのうえ会社側が即戦力の養成など無理だと思っているのです。

能力の高い人が、普通に会社に存在しているというのは、もはや当然ではないということになります。新規採用を減らしていますし、今いる人たちは、ずれた仕事をやっているため、提供するサービスの維持がそろそろ限界にきているということでした。

いまでも、この会社には優秀な人材が何人もいて、圧倒的に有利な条件にあることには変わりがありません。条件が悪化しても、まだサービスの質を落とさないでいるのです。「そろそろ限界」ということは、まだ平気だという認識になっているというのでした。

     

3 シンプルな具体案の提示

若手のリーダーが言うことは、第三者から見たら当たり前に見えるはずです。危機感がないことがとても危険だということでした。いまは経験者が足りませんし、補充ができませんから、あと数年で今の体制は崩れます。それが見える人たちが辞め始めているのです。

こういうとき、どうしたらよいのでしょうか。多くの方が、ああすればと、いくつか思いつくはずです。今回、自分の状況判断がおかしくないかと問われました。具体的な案について聞かれたわけではありません。状況に関しては、率直なところ分からないのです。

改善点はいくらでもあるでしょう。しかしどうしたらよいのかというのは、簡単には見えてきません。現状がおかしいのはわかります。コロナで状況は変わりました。先例が役に立ちません。この先、どうすべきかというのは、簡単に言えるものではないでしょう。

自分が経営陣の一人だったら、具体的にどうするのか、シンプルに提示できるまで詰めるべきです。その詰めがない場合、リーダーの立場にある以上、ただの不満表明になりかねません。最前線に近いだけに、よい提案ができるはずです。期待しながら見ています。