■OJT用のマニュアルを作成する意義

     

1 効果の見えるところからスタート

OJT用のマニュアルを作成する講座を実施してきました。こういう時期に、会場でもオンラインでも熱心に話をお聞きいただいて感謝しています。OJTが大切になってきているのは、あえて言うまでもありません。コロナの問題で、即戦力が必要になっています。

一番効果的な方法で、実力をつけてもらうことが不可欠です。逆に言えば、一番効果のあるところから手をつけていくのが原則だということになります。効果がはっきり見える領域があったら、狭くてもなんでも、まずそれをやって成果を見える形にすることです。

成果が、その次の成果を生みます。人は効果をあげていると感じられたら、楽しくやれますし、それが成果となって表れてくれば、安心し、満足するのが自然なことです。そうなるように、どういう仕組みを作ったらよいのか、ここで苦労することになります。

      

2 ユーザー用ではなくリーダー用のマニュアル

実践を通じて身につけるためには、覚える項目の数を増やし過ぎてはいけません。マジカルナンバー7というように、7個くらいまでなら感覚的に把握できます。チェック項目が10を超えると、厳しくなってくるはずです。必要項目を厳選する必要があります。

成果をあげたOJTの内容を見ると、目的が何であるかが明確です。これができたら、こういう姿になりますというゴールも明確になっています。そのためにどうすればよいのか、少ない項目でも目標達成ができると言えるかどうか、リーダーの苦労のしどころです。

率直なところ、最初から完璧なものなど作れるはずはありません。まず作ってみないことには、自分でも心配になるはずです。だから記述しておくことに意味があります。リーダー用に記録する点で、OJT用のマニュアルは違います。ユーザー用ではないのです。

リーダーからすると、何でもかんでもこうしてほしいと思う点が出てくるかもしれません。それを絞り込むこと、シンプル化することに苦労することでしょう。いかに少なく教えて、大きな成果を上げるのか、記述してみると自分でも興味深いはずです。

     

3 リーダーの自己検証用ツール

マニュアルという形式で記述をしてみると、視点が実践者に向いていないことが明らかになることがあります。「こうするように」という形式の記述が連続しているのを指摘すると、ご本人が驚くこともあるのです。実践者の視点に立つのは簡単ではありません。

結果として成果をあげるリーダーとそうでないリーダーの差がかなり出ます。リーダー自身の仕事の成果とは必ずしも一致しません。能力を引き出すためには、もう一度、頭の中を整理しないと上手くいかないのです。他者でも実践できるようにする必要があります。

自らが成功してきた場合、どうしたら、それをまっさらな人が効率的に、安定的に身につけて行けるのか、それを考えるのがリーダーの仕事です。はじめは苦労するしかありません。リーダーになるくらいの人なら、たいてい見れば評価はできてしまうのです。

しかしそれを納得してもらえるように説明するのは簡単ではありません。自分が簡単にできてしまったからといって、他の人が簡単にできるようになるわけではありません。リーダー養成には、OJT用のマニュアルを作って自己検証してみるのは効果的だと思います。

       

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