■スライド作りで苦労するところ:図解講座の後に来た相談

     

1 スライドで苦労する新人たち

おととい図解講座を行ったばかりですが、あらあらと思う話がありました。こちらは新人の人たちのケースです。会社でスライドを作成することになっているとのこと。先輩の事例を示して、こういうものを作ってくださいという指示が出されたということでした。

担当者から先輩の事例について、ささやかなコメントが付されていて、こういう言い方でなくて、例えばこうした方がいいと書かれていたということでした。このコメントにおかしなところはありません。さて今回、当事者は当初、何に頭を抱えていたか…。

スライドを作るときに、5枚以内という指定がありました。枚数が少ないだけに、1枚1枚に目が行くことになります。その結果、本筋でないところに、意識が行きがちです。今回、スライドのわきに置かれたイラストが気になって、心配になったようでした。

しかし今回のスライドで本当に大切なのは、今後の部門の方向性をどう考えるかということでした。これがテーマですから、その内容が問われます。そうなるとじつは図解の問題ではありません。日本語で、内容を詰められるかが問われているということです。

      

2 思考とは「能動的+受動的」

前回書いた通り、図の数やスライドの数を減らすようにという指定は今後、増えていくはずです。1枚1枚のスライドの質が問われます。だからこそ内容勝負ということです。そうなると、当然のことながら言葉で言えることが大切だということになります。

実際、今回つけられたコメントも、「どこに行き何をすべき」という種類の表現がなされていたものに対して、「どこの何で、どういうことを行って、その結果、どういうことを達成すべき」という表現にするようにとの指示でした。これは正しいでしょう。

まずは思考の整理が必要です。自分の考えるところ、思うところを明確にまとめなくてはなりません。「考える」ということは能動的なことであり、「思う」というのは受動的なことです。両者をうまく調整して、ポイントを詰めていくことになります。

    

3 ポイントは日本語での記述

今回のケースでは、ラフスケッチの段階で、「究極の」という用語がありました。「究極の味」とか「究極のサービス」といった言い方はあるでしょう。しかしもう少し明確になっていないと、イメージだけの存在になります。こうした点を詰めなくてはいけません。

もう一つ気になったのは、たくさんの箇条書きを並べているだけで、それらをまとめきれていない傾向が見えたことでした。列記だけの場合、漠然としていて、よくわからないということになります。抽象的にならず、しかしポイントを絞ってということです。

今回ご相談があって、スライド作りで苦労している様子はわかりました。しかし本当に苦労すべきなのはスライドで表現する内容のほうです。それは日本語で記述できるかどうかということになります。言いたいことを明確にする訓練が必要だということです。

    

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