■就職活動を見ながら:人を選抜するということ

     

1 優秀な学生を見出すのはむずかしい

今月12日から講義が始まります。たまたま人事の方から、最近の若い人がわからなくなったと連続して言われたのが、2013年の後半だったと思います。2014年から大学と専門学校で講義をさせていただくことになりました。いまも専門学校では講義を続けています。

新型コロナの感染拡大で、昨年の卒業生たちはそうとう苦しみました。今年卒業する学生たちも、夏くらいまではあまり変わらない状況でしたが、夏のコロナ感染がピークを過ぎてから内定が拡大し、年を越してからも、かなりいい会社に内定が決まっています。

来年卒業する学生たちは、おそらくもっと状況がよくなっていることと思います。ただ今後、企業側が苦労するかもしれません。いい学生をどうやって採用するか、簡単ではないでしょう。従来型の採用システムでは、優秀な学生を見出すのは簡単ではありません。

      

2 レポート課題は有効だが躊躇されがち

今年卒業する学生たちの選抜を見ると、業界の中でも強い会社はレポート提出を課すところがいくつか見られました。これは人事の人にとっても、悩むことがらかもしれません。それなりに優秀な学生でも、レポートが書けない人の割合がかなり高いのです。

定員の何倍ものエントリーがある会社ならば、レポートに躊躇する必要はないでしょう。しかしレポート提出と聞いただけで、挫折しましたと言う学生が私の知る限りでも、かなりいるところを見ると、レポート提出の課題を諦める企業もあるかもしれません。

教える側から見ると、レポート重視は王道だと思います。普段からきっちりやることをやる学生は、書き方を少し教えるだけで、かなりレベルの高いレポートが書けるようになります。思ったよりも個人差が大きいのも特徴です。有効な手段にちがいありません。

しかし企業側にはレポートを課すのに躊躇する別の要因もあるように思います。もしレポートを適切に評価できるなら、選抜の手段として有効でしょうが、毎年うんざりするほど評価を間違う会社が実在するのです。何をやっているのかと思うことがあります。

      

3 間違い続ける担当者と見事な担当者

学校でも会社でも、文書を作成するための訓練がほとんどなされていません。それを指導できる人がかなり少ないというのが現実です。それだからこそ、レポートを課題にし、それを的確に評価した会社は目立ちます。実際に少数ながらお見事な例もありました。

人事の人も、学生に普段から会うわけではありませんから、当然間違います。やはり複数で判断する体制を作っておいた方がよいのでしょう。最近目立つのは、若手の優秀な人の存在です。彼らはレポートも書け、仕事もできるタイプの人なのかもしれません。

今年度の例でも、チーフが評価を間違えたらしく、ボロクソに言われたとの報告がありました。またあの人かと思います。幸い若手担当者がフォローしてくれて、再チャレンジが出来ました。圧倒的な実力の学生です。次に面接した役員がそこをすぐに見抜きました。

間違う会社と、いつも立派な選抜をする会社がはっきりと分かれています。おそらく一番大切なのは、2013年頃にも問題になった、わからないという自覚でしょう。もう何年も間違い続けている自信満々のベテラン人事担当者を抱える会社が、まだあるのです。

       

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