■成果の上がる業務マニュアル:標準医療の方法とスマイルカーブの利用

     

1 標準医療:適切な標準化の典型例

適切に作られた業務マニュアルがあれば、必ず業績が上がると言ってよいでしょう。漠然と何かを行うよりも、基準となる標準を設けて、それを改善していくか全面改訂しながら進むほうが、一定期間で見ると成果が上がります。例外のほとんどない原則です。

現在の標準医療は、かつての名医をしのいでいます。エビデンスという科学的裏づけのある新たな治療方法を、合理的な判定に基づいて標準治療として取り入れ、確実な進歩をしてきました。適切な判断基準に基づいて、改善・改革をしている点に強みがあります。

業務マニュアルも、同じです。自分たちの仕事の成果との関係を評価基準にして、合理的な仕組みであるかを判断していくことになります。働く人にとってよりよきものになっているか、社会的な活動として、よりよきものになっているかが判断基準ということです。

      

2 営業:応用しやすい領域

私たちは仕事の見直しをしようとするとき、ときどき大きく考えすぎることがあります。成果をあげるためには、ごく一部の業務だけを変更することで足りるのが普通です。すべての業務の手順やルールを変更する必要はまずありません。それはやり過ぎです。

仕事を見直す場合、更新すべき中核を見出して、そこから直していきます。そのとき参考になるのがスマイルカーブです。これは付加価値の高い仕事の領域が、上流の企画・設計と、下流の営業・アフターサービスなどになるというモデル理論でした。

実際に手をつけるときに、企画や設計の方法を変更するのは簡単ではありませんが、営業方法を見直すのは容易です。いちばんできる人の営業方法を標準にするだけでも、全体の成果が上がることはよくあります。たったこれだけの変更で成果が違ってくるのです。

     

3 トップクラスの成績の人の訴えとその後

ごく最近の例を見てみましょう。営業でトップクラスの人から、自分はまだ営業が下手だという訴えがありました。これはありがちなことです。営業において完璧というのはまずないでしょう。仕事が出来る人なら、かえって自分の不十分さを感じるものです。

まずその人が現在行っている営業の方法を聞いてみます。問題はないようにも見えました。しかしそれでは飛び抜けません。どこに改善の余地があるのか、話をするうちに明確になってきました。そうなると現在どういう営業をしているのか、詳細が問題でしょう。

こういう場合には、問題となる領域について、普段行っている営業方法を書いてもらうことになります。本人が行っている営業ですから、そう苦労なく書けます。実際に書いてみると、問題だと思いながら特別な工夫もせずに反復していたことに気づくのです。

検討の結果、大切な確認が抜けていた可能性がありました。それが見えれば簡単です。その場で必要項目を書きこんだマニュアルを提示しました。それを本人が工夫して、翌日から実践しています。すでに5割増しの成果が出ているため、推移を見ているところです。