■ビジョン・目標の機能:ワクワクさせる何かを示すこと

     

1 ビジョンと目標の関係

ビジョンが目標に先だつのは、自然なことだろうと思います。目指すべき具体的な姿がビジョンであり、それを客観的に定義するのが目標だからです。前回、星野リゾートのビジョンの例を挙げました。「リゾート運営の達人」がビジョンだということです。

『星野リゾートの教科書』では、「リゾート運営の達人」を目指そうというのが、ビジョンだとあり、これを達成した場合の目標が示されていました。3つの指標を使って、ビジョンの達成率を把握しようとしています。この3つの指標がそのまま3つの目標です。

目標という概念は、明確性が必要になります。達成したかどうか、どのくらい達成したかがわからないと、目標としての役割が果たせません。したがって、数値化したり客観化が必要です。ビジョンの到達程度を定義する測定基準と密接に絡みます。

     

2 エディー・ジョーンズが示したワクワクする目標

それではラグビー日本代表のヘッドコーチだったエディー・ジョーンズが選手たちに語った言葉はどうでしょうか。『ハードワーク』にあります。「君たちは、これから世界のトップ10に入る! そして、3年後のワールドカップに、必ず勝つ!」。

エディー・ジョーンズが示したのは、目標でした。世界のトップ10に入ったかどうか、客観的に判断できます。「3年後のワールドカップに、必ず勝つ!」というのも、いつの、どんな場面で、勝利を挙げるのかが明確です。この明確性が目標の基礎になります。

日本代表の選手たちは、この目標にワクワクしたでしょう。この目標を達成したいと思ったはずです。エディー・ジョーンズが示したこの目標は、効果を上げました。世界9位まで行きトップ10を達成し、2015年のワールドカップで3勝を挙げています。

▼目標は漠然としてものや、抽象的なものではいけません。数字などで具体的に表現され、結果が出たとき達成できたかどうか、はっきりわかるものでなければなりません。
明確な目標は、必ず強いイメージを伴います。そのイメージが、成功へと導くのです。 『ハードワーク』

      

3 ワクワクさせることができて客観性があること

目標自体がイメージを伴い、それが成功に導くとエディー・ジョーンズは言います。星野リゾートの場合、ビジョンである「リゾート運営の達人」がワクワクさせるものだったことでしょう。ビジョンにしろ、目標にしろ、何が問われるのかが見えてきます。

星野佳路社長は、『賢人のビジネスリーダー力』で、「温泉旅館の真刺激」をコンセプトに運営を行っている旅館があることを紹介しています。「温泉旅館だからこそ味わえる刺激」という造語のおかげで、社員がこれを定義しようとしているとのことでした。

何か魅力的な概念を示して、それを達成しようとする気にさせる機能を持つことが、ビジョンを掲げ、目標を掲げる行為に繋がっています。「温泉旅館の真刺激」でも「リゾート運営の達人」でも、当事者がワクワクする要素を持っているビジョンといえるでしょう。

『賢人のビジネスリーダー力』でも「売上高前年度105%アップ」では[具体的すぎて広がりがない]との注釈がついていました。ワクワクさせることができて客観性があれば、目標のみでも、ビジョンと目標の二本立てでも、どちらでもよいということになります。