■もはや使われなくなったSWOT分析、3C分析

      

1 誰も使わないSWOTと3C

昨日、文書講座を行ってきました。こういう時期ですから、受講者の方々とWebでやり取りしながらの研修です。主催者が、このテーマでこの時期に期待していた人数の受講者が集まってくれてよかったとおっしゃっていました。ありがたいことだと思います。

冒頭、しばしば使われてきたフレームについて言及しました。受講される人たちは、それらのフレームを使っているのでしょうか。こうした研修に集まる方々は、強い会社の人たちですから、SWOT分析とか、3C分析とか使っているのか、ふと気になりました。

お見事! もはやどなたもSWOTだの3Cだのを使っていません。名前さえ知らないという方が半分くらいいらして、知っている人達でも、使えるほど詳しいわけではありませんでした。もう必要ないでしょう。すこし解説しようかとも思いましたが、やめました。

     

2 10年前は利用者が有効性を主張

懐かしい思いが湧きあがってきました。マネジメントの研究会で、この二つのツールはもはや使えないといったところ、感情的な反発をしてきた人たちがいたのです。使い慣れた人にとっては、不可欠なツールに感じるのかもしれません。しかしバカげたことです。

その頃いつも研究会が終わると二人で話しながら帰っていたのが、大木英男先生でした。マーケティングの専門家です。2000年頃に書いた本には、SWOT分析、3Cを紹介なさっていました。当然のように、先生のコメントを聞きたがる人がいたのです。

大木先生は穏やかに、もう使えませんねとおっしゃいました。もはやSWOTだ、3Cだといっていられるビジネス環境ではないのです。これらは静態的なツールでした。強みや機会がビジネスを成り立たせるのに十分な期間、維持できるなどということはありません。

     

3 静態的なツールの弊害

SWOTや3Cを検索してみれば、いくらでも出てきます。SWOTでは、強み(Strengths)、弱み (Weaknesses)、機会 (Opportunities)、脅威 (Threats) の要素をマトリクスにして考えていきます。強くて機会がある分野に集中すべしということでしょう。

3Cでは、顧客(customer)、競合(competitor)、自社(company)を考えていくことになります。しかし固定客ばかりではないですから、簡単に顧客が見えるものではありません。有望ならば、新たな競合が参入してきます。自社のことも、先は分からないのです。

ビジネス環境の変化を前提とする必要があります。静態的なツールを使って考えていくと、おかしな方向に進みかねません。今回、2つのツールが使われていないことが確認できてよかったと思います。動態的な環境の分析は簡単はないと、改めて思いました。

     

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