■小さな組織のシステム化事例:PRESIDENT Onlineの記事から

     

1 魚屋のシステム化事例

PRESIDENT Onlineの記事「「父と大ゲンカ勃発」楽天出身、魚屋の跡取り娘が強行した現場のすごいDX 2店舗から12店舗に急拡大」(2021/06/24)は、とても興味深い内容でした。魚屋さんの娘さんが行ったシステム化は、王道を行く方法を採っています。

大学を出てから楽天で働き、その後、実家の魚屋さんで仕事を始めた森朝奈さんの実践したシステム化の話です。詳細は、どうぞ記事をご覧ください。ここでは、何がシステム化をするときのポイントになるのかということだけ、記しておきたいと思います。

まずは、ケンカをしても仲の良い父娘という関係であったことがあげられます。これは一般化できるものではありません。たいてい圧倒的な人の場合、従来からのやり方をシステム化することに抵抗します。このストーリーでは、ここは例外です。

     

2 「何がなされているか、どこをシステム化するか」

もし小さな組織が、そろそろ属人的なやり方では限界だと思ったとき、どうしたらよいのか。その点について、先の記事は役立ちます。この娘さんは、どうやってシステム化したらよいのか、最初からよくわかっていたようです。見事というしかありません。

仕切っている人がいなくなったら、仕事が回らなくなる組織では、その人の[指導がなければ、どこに何があるのか、どこにどうやって発注をかけるのかさえわからない]状態でしょう。最初に[社内でどんな仕事をしているのかを明らかにする]必要があります。

第一段階としてなすべきことは、「組織で何がなされているかを明確にすること」です。各業務を深堀りするよりも、項目をあげていく感じでしょうか。それが明らかになるにつれて、属人化の領域が見えてくるはずです。そこに焦点を当てていくことになります。

第二段階としてなすべきことは、「属人化領域を発見し、システム化する領域を絞り込むこと」です。記事にも、[そんな中で朝奈さんが最初に手を付けるべきと感じたのが、受発注だった]とあります。この方はわかっているのです。きちんと絞り込んでいます。

     

3 システム化の成果を活かす

領域が決まれば、システム化を進めていくことになります。何をすればよいのでしょうか。[それまで社長の頭の中にあったノウハウや知識を、仕組み化して共有すること]と記事にあります。仕組みがどういうものであるのかを、標準化していくのです。

業務を標準化することできたなら、ここからはシステムの専門家にお願いすることになります。プロでなくては、ここはうまくいきません。しかし、いくらシステムのプロであっても、業務が標準化できていなかったら、システム化は成功しないでしょう。

第三段階としてなすべきことは、「業務を標準化して、システム化を進めること」です。第二段階で絞り込んだ領域が正しいかどうかは、システム化によって成果が上がるかどうかで決まります。最初に成果が上がる領域を選べるかどうかがポイントでしょう。

第四段階としてなすべきことは、「省力化した分を他の分野に振り向ける」ことです。[業務が効率化しただけでなく、ほかの社員に仕事を任せられるようになった]ため、[2店舗だった居酒屋などの店舗数を、12店にまで増やすこと]ができました。

*PRESIDENT Online (2021/06/24)
「父と大ゲンカ勃発」楽天出身、魚屋の跡取り娘が強行した現場のすごいDX 2店舗から12店舗に急拡大 

     

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