■構想の「目的・目標・手段」と「プロセス」についてのラフスケッチ

1 構想の目的・目標・手段

構想力不足は日本でも問題になっているところです。何かを構想するとは、ちょっとしたアイデアではなく、一定以上複雑な構造を持った全体をつくることを意味します。構想力という場合、ある効果を生み出す仕組みや方法を持っていることになるでしょう。

学者なら論文を書くこと、画家なら絵を描くこと、ビジネス人なら製品やサービスを生み出すこと…そのためには構想することが必要になります。何らかの効果を持った成果物を生み出すことが求められ、それをどう達成するかが問題になっているということです。

構想には、おそらく目的、目標、手段があります。効果を生み出すことが「目的」です。その効果を示すための成果物をつくりあげることが「目標」になります。さらに、こうした成果に結実させる方法や仕組みを持つことが「手段」になるはずです。

 

2 予期せぬ成功を活かす条件

画家は作品を描くとき、デッサン力があり、色彩の効果について判断できることが基礎にあるだろうと思います。例外は無視できる程度のケースです。デッサン力や色彩感覚が邪魔になることはありません。必要不可欠といっても嘘にならないでしょう。

こうした基礎が身につけているという前提で、絵を描く過程で、偶然に上手くいったものを活かしています。ドラッカーが『イノベーションと企業家精神』で示したイノベーションの7つの機会のなかでも最上位においた予期せぬ成功を活かすケースにあたります。

画家の場合で言えば、形と色の効果を評価できるかぎりにおいて、予期せぬ成功を活かすことが出来ます。文章を書く場合なら、自分の書いたものを正確で客観的に読み取れるかどうかが条件になるでしょう。着想を活かせるかどうかもここにかかっています。

 

3 推敲の前に構築・組立の段階

構想するためには、各分野の基礎が必要です。学者なら正確な読み取り、画家ならばデッサン力や色彩感覚などでしょう。こうした基礎力を身につけて実践していく。そのとき自己分析できることが不可欠な要素です。それなしに偶然の成功を味方につけられません。

偶然の成功、予期せぬ成功に気がつくことは、まだ着想の段階でしかありません。それを統合して、何らかの構造にまとめあげることが必要です。何かを組み立てること、構築する過程が不可欠になります。効果を上げるための全体統合をどうするかということです。

ある効果を狙い、それを達成する成果物を作るためには、構想力という観点から考えることも必要でしょう。まず基礎の過程として、一定水準の文章が書けたりデッサンが出来たりする第一の基礎と、それを正確に読み取り分析できる第二の基礎がありそうです。

基礎力のある人が、何かを生み出そうとして、エネルギーを集中させていき、その過程で予期せぬ成功に気づき、着想として活かしていく。成果物にまでするには統合することが不可欠になります。推敲や洗練の前に、構築・組立の過程が必要だということです。

 

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