■起承転結とAIDA(Attention/Interest/Desire/Action)

1 起承転結の確認

新しい学期が始まりました。今年は文章について話すことになっています。専門学校の学生たちに起承転結というのはどんなものかと聞いたら、どんな反応を示すだろうかと、ふと思いました。たぶん聞いたことはあるでしょう。しかしよくわからないはずです。

別に学生に限らないと思います。私自身、聞いたことはもちろんありますが、起承転結で文章を書く練習をしたわけではありません。起承転結というもの自体、どんなものであるか確認が必要です。雰囲気でわかっているだけにすぎません。

起承転結について、頼山陽が作ったといわれる例文がありました。「京都三条の糸屋の娘 姉は十六 妹が十四 諸国大名は弓矢で殺す 糸屋の娘は目で殺す」。高校のとき、何かの時間に、これを聞いた記憶があります。わかったような気にはなりました。

「起」でテーマを提示して、「承」でその説明をして、「転」でテーマ以外の事柄を提示し、「結」でオチをつけて締めくくるといったところでしょうか。もともと漢詩の4行詩「絶句」の作成作法ということですから、内容はかなり変容しているはずです。

 

2 AIDAという英語の起承転結

起承転結だけでなく、序破急という構成も聞いたことがあるかもしれません。いずれにしても、3つとか4つからなる構成というのは、わかりやすいものです。「plan/do/see」とかPDCAというのも、わかりやすい構成だということに気がつきます。

英語の文章構成の場合にも、よく使われる構成法があるようです。『英語の実務』(スタンダード英語講座7)で石本輝夫は、[英語には英語独自の起承転結の方法がある。それは、AIDAと呼ばれる Attention, Interest, Desire, Action である]と記しています。

これにMemoryを加えた「AIDMAの法則」のほうが知られているはずです。AIDMAなら、お聞きになったことがあるかもしれません。これは広告などに適応されるものです。AIDAの場合、ビジネス用の手紙を書くときに使われる構成方法ということでした。

 

3 目的と手段

石本はAIDAの形式で書かれた英文の手紙を、事例として示しました。ブロックごとに、AIDAのどの項目にあたるのかを石本が付記しているため、なんとなく書き方がわかります。4つにブロック分けするのではなく、AIDAの順番に並べればいいということです。

事例では[Attention/ Interest/ Interest/ Interest/ Desire/ Action]とIが3つ重なっています。Aで、読み手の注目を引き付け、次にIで、興味を持ってもらえそうな内容を記し、Dで、いいなあと思ってもらい、Aで、行動に結びつけようという形式です。

なんと実用的な構成でしょう。成約に結びつけるために、どういう形式が有効かと練られた形式です。成果となる目的が明確に意識されていて、その手段としてAIDAの形式が選ばれています。ビジネスで起承転結が使われないのは、仕方ないのかもしれません。

 

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