■仕事を言葉にしておくことの意味:業務マニュアルを記述する理由

1 業務を書くこと

業務マニュアルを作る場合、業務を書かなくてはいけません。書くということは、文字によって、業務を表現することですから、楽ではないでしょう。どうやって、業務を文章にしていくのか、そのこと自体がわからないという方もいらっしゃいます。

業務マニュアルという文書は、ビジネスを作り上げるために存在することは言うまでもありません。その文書を見て、仕事が実践できるように記述することが必要です。しかし言葉によって、実際の行動につながるようにするのは、とても難しいことです。

実際、言葉にしたマニュアルだけを見て、実践することは不可能に近いでしょう。業務マニュアルを作ることによって効果を上げている組織では、業務マニュアルを作っただけで終わりにしていません。実践できるように、OJTや教育研修があります。

 

2 OJT・教育研修だけでは不十分

業務マニュアルと、OJTや教育研修を組合わせることは、実践を重視する組織なら、あたりまえのことでしょう。しかしあたりまえのことができていない組織が、けして少なくありません。OJTだけで何とかやっているというところは、たくさんあります。

それなら業務をあえて記述しないで、OJTや研修だけで十分な効果が得られるのでしょうか。たいてい業務マニュアルがないと、業務の質が上がらないことになります。大切な領域を記述しておくことは、それ自体に意味があるということです。

業務を書くことによって、何か特別いいことがあるのでしょうか。一番大切なことは、仕事を客観視できるようになるということでしょう。実践できることでも、それを記述しようと思うと簡単でないことに気づきます。客観化しないと伝わらないのです。

 

3 客観化した記述による業務の高度化

料理のレシピを作ろうとするとき、砂糖や塩、オイルなど、調味料の量が問題になります。ふだん作り慣れている人なら、いちいち計量スプーンで測っていないかもしれません。それを人に伝えようとするときになって、はじめて計量することになります。

客観化できるところは、数量化したりして客観的に記述しておけば、それが標準になります。すべてを客観的に記述できるわけではありませんが、その努力を重ねていけば、だんだん定量化できる領域が拡大していくことになるはずです。

普段できるということと、それを他人ができるように記述することには大きな違いがあります。圧倒的に成果をあげている人の仕事を、全体でなくても、一部分でも実践できるように記述できたら、当然、組織全体として成果が上がることでしょう。

客観化できることを客観化し、それを標準にしておくことによって、全体の業務の水準が上がります。実践方法を書いたレシピがあれば、それをなぞって実践することによって、レシピだけで実践できるようになります。レシピもそのうち必要なくなるはずです。

 

 

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