■業務マニュアル作成講座を終えて:手ごたえを感じさせる危機意識

1 危機感なき危機

先週、業務マニュアル作成講座を行ってきました。新型コロナの問題があるこの時期に、おおぜいの方に受講していただけたことに感謝申し上げます。いま、仕事の仕方が大きく変わってきていますから、業務マニュアルを作る能力は不可欠です。

業務の変化する度合いから見ても、今回の新型コロナの影響は、リーマンショックの時よりも数段おおきなものになっています。今まで改革が遅れていた組織も、さすがに待ったなしになりました。逆に、リーマンショックの時のことを思い出します。

リーマンショック時には、欧米に比べて、傷が浅いという専門家がいました。日本はバブル崩壊のあとだから無謀な貸付は少ない、欧米は大変だ…というお話でした。その一方で、当時でも危機感なき危機だという人も、かなりいたことを思い出します。

今回、新型コロナの問題が業務の構築を意識する機会になれば、ピンチがチャンスに変わるはずです。業務というのは、ビジネスのことですから、大きな領域も小さな領域もカバーすることになります。今回、大きな領域が動き出したということです。

2 できる人達の危機感

業務マニュアルの講義をするようになったのは、リーマンショック後のことでした。当時の危機感のなさは、たぶん今では信じられないことだろうと思います。そのころ、その分野で日本一だった業界トップ企業の業務マニュアルをチェックしたことがありました。

担当者が、使えないから見てもらっているのだとおっしゃるのは、たしかにその通りでしょう。しかし「業務マニュアル」という文書があったところで、使えないのなら意味がないはずです。ないとまずいから…とわざわざ配布しているのは、何か変なことでした。

あの頃から、もう10年以上たちました。もはや雰囲気が違います。どちらかと言えば、コロナ下でも強かったIT業界の人たちでも、このままではまずいとお考えです。強い会社というよりも正確には、できる人ほど危機感が強いというのが正しいように思います。

3 作成の苦労は報われる

本当に強い会社というのはありますし、そこには優秀な方がいることも、あえて言うまでもないことです。いつの時代でも、圧倒的な組織はあります。しかし今回は手ごたえを感じるくらい多くの人たちが危機感をもって、実際の行動に結びつけているのです。

業務マニュアルを作る人は、リーダーになるべき人ですから、もともとそんなにおおぜいいるはずはありません。会社のエースが業務を標準化し、業務を構築することになります。ビジネスで一番大切な文書の一つ、一番難易度の高い文書を作る仕事を行います。

業務マニュアルの作成が難易度の高い仕事であることは間違いありませんが、一つ一つやるべきことをきっちりやり、あとは事例を参考にしていけば、作っていけるはずです。組織には面倒なこともありますから、へこたれないことも大切になります。

作成担当者はこれからも苦労すると思います。その苦労は報われるはずです。これから日本の組織がどうなるのか、興味とともに期待を込めてみていきたいと思っています。リーマンショック後とは違うはずです。そうなるように自分も努力したいと思います。

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