■目標をどう決めるか:リーダーのために

1 使命から目標が決まるという考え

自分達のビジネスの目的を考え、それが私たちの使命である、ミッションであると信じられることを見出すことから、ビジネスは始まる。これがマネジメントの原則である。自分たちの使命を実現するためには具体的に何をすればよいのか。それを選択していく。

こうやって目標の方向が決まる。その目標を客観化するために、目標の条件が導き出されてくる。目標を達成したか否かが判断できること、可能なら目標を数字で表せるようにすること。こうした流れを経ていくことが、目標設定の王道のはずである。

こうした考え方を、聞いたことのある人も、かなりいるはずである。しかし実際にはそうしていないことが多い。その都度、自分達のビジネスの目的がどうか、などとは考えないで、それでも目標は問題なく決まり、何となく上手くいっていることがある。

 

2 現実的な目標設定

たいていの目標は、前回このくらいの数字が出たので、今回はもう少し積み増した数字を達成できたらと考えて、数値化される。当然、こうして出された目標は、達成したかどうかが判断できる、客観的なものである。たいてい数字の裏づけを持ったものになる。

こういう発想は、目的から目標を決めていく発想とは別のものである。しかし目的がないとは言いきれない。自分たちはお客様の必要なものを提供しくことを実践している。目標とすべき規模は、前回を基準にして決めていくのは当然だ、という考えである。

前回を超える数値を設定し、その目標を達成したならば、その目標設定は現実的で、妥当だったということになる。目標は正しかったともいえるだろう。さらに目標を積み上げていくことは、自分達のビジネスの正しさを裏づけることになるという発想になる。

 

3 正しさの根拠となる市場

私たちは、正しいということを、どうやって決めていけばよいのか。その決め方の基準はどうなっているのか、それが問題である。ビジネスであるならば、収益を上げなくてはならない。それが前提になっている。利益なきビジネスは永続しないからである。

しかし利益は正当かどうかということを問うときに、それは良心というだけでは不十分だということになる。この点、橋爪大三郎は『世界は宗教で動いている』で、[良心でなく、利益が上がるかどうかは、市場法則に従うのではないか](p.112)と問うている。

▼市場価格は、自分では決められません。需要と供給の関係によって決まる。需要がある、とはみんなが欲しがっているということ。皆が欲しがるなら、どんどん作ればいい。つくればつくるほど隣人愛を実践したことになるのですから、ビジネスはその精神にかなっている。 p.112:『世界は宗教で動いている』

アダム・スミスが言ったという「神の見えざる手」が働いて、市場で価格や数量が決まってくる。[利潤が上がるかどうかは事後的な問題](p.113)であるから、目標を立てること自体に、リスクも当然ある。目標設定には、こうしたメカニズムも働いている。