■マネジメントを学ぶ理由:澤田秀雄『変な経営論』を参考に その3

1 素人ならではの強み

ハウステンボスは、黒字化することなく、経営に失敗し続けていた。当然のように、それには原因があった。何といっても立地の場所がよくないということである。では、立地を変更できないテーマパークには、将来性がないということになるのだろうか。

澤田秀雄は債務なしになった時点で、行けると感じていた。[立地の問題など、根本的なネガティブ要因は何も解決していないのだが、少なくとも重荷をおろしてスタートラインには立てた。あとは頭の使いようだろうと思った](p.23)という。

「頭の使いよう」とはどういうことか。澤田は「素人だからできることがある」「素人ならではの強みがある」と考えていた(p.24)。素人の強みで、従来からの方式を全部見直すことになる。新しい方法なら、お客さんも満足して収益も上がるということである。

 

2 経営モデル作りの基礎となるマネジメント

ビジョンというものは、すべてが事前に見えている状況ではなくて、何かあっても対応できるという見通し、構想のことである。失敗するだろうけれども、どこかで浮上してくるだけの自信が持てる根拠が必要になる。それが「素人だから」であった。

素人だから、新しいコンセプトが作れる。新しい経営モデルが作り上れたなら、黒字化して収益の柱になるという確信が、澤田にはあったのだろう。これは天性のものかもしれない。われわれは、そこから真似できる形式に体系を作っていく必要がある。

他人が成功した方法を標準化して、成果があげられるようにまとめあげるためには、マネジメントを学ぶ必要がある。それが基礎になって、この方法がすごい、真似するにはどうしようかということになる。そういう発想で見ていけば、事例が活きてくる。

 

3 ハウステンボスの方法論

コンセプトとなったのは、[ハウステンボスを「タダでも行きたくない場所」から、「お金を払ってでも行きたい場所」に変えればいいのだ]ということである。[では、何がわれわれの売りになるのだろう?]、この答えが[「脱オランダ化」だった](p.29)。

オランダにこだわらず、お金のかからないイベントで入場者を増やす必要がある。[値段じゃなく、コンテンツが勝負]だから、[オンリーワンかナンバーワンのイベントしかやらない](p.31)ということになる。次々考えられた企画はお見事というしかない。

「ONE PIECE サウザンド・サニー号クルーズ」「100万本のバラ園」「九州一の花火」「世界一の光の祭典」「屋外のゴム製ふわふわプール」「日本最長の巨大スライダー」「天空の城」…と[その時期にしか見られない「目玉」を途切れさせない](p.45)。

売上げを増やすだけでなく、経費を2割削る。そのために[園内の3分の1を無料ゾーンにする][身の丈に合わせて狭くして]維持管理費をカットした(p.53)。こうした再建の方法はその後、別の分野でも活用できる「ハウステンボスの方法論」になっている。