■改革と改善 :リーダーになってしまった人へ その20

1 顧客の存在を定義

ビジネスの定義をする場合に、環境、ミッション、卓越性が問題になる。これはビジネスを構築するときの基礎になる。お客さんになってもらえる条件を見出すための分析過程である。ビジネスの定義とは、顧客を創造するための基礎となるプロセスといえる。

(1)顧客の創造が可能であると考えられる領域を探し、(2)自分達が何をしたいのかを問い、(3)自分が競争に勝てそうな領域はどこかを検討する。環境を前提に、「これがしたいという思い」と「自分たちがうまくやれるのはどこか」との調整が必要になる。

顧客がいるかどうかという「存在問題」をクリアするために、「ビジネス環境」「自分たちの自己実現」「自分達の卓越した分野」の統合を検討し見出すということである。第1のプロセスは、こうすればお客さんが創りだせるという分析の成立する段階といえる。

 

2 「何を」するかのステップ

第1のプロセスでは、自分達の顧客を「誰に」するのか、それが可能なのかを定義することになる。定義するとは、3つの要素を「現実に適合させること、現実を直視すること」によって「それぞれの要素をうまく適合させ、統合させること」である。

これらの適合・統合によって次の段階に進む。「The Theory of the Business」(企業永続の理論:1994年)でいう通り、[「いかに」なすべきかの手法で]はなく、[マネジメントにとって、「何を」なすべきかが大きな問題](p.25:『未来への決断』)である。

第1ステップで、「顧客を誰にするか」という領域を決めて、次の第2ステップで、具体的に「何を」するかを決めていく。ここで決められるものが、ビジネスモデルになる。具体的に何をするのか、どんな体制・仕組みを採るのかということである。

 

3 改革と改善

ビジネスの定義を行い、ビジネスのモデルを作り、その次にくる第3のステップで「ビジネスの手段」をどうするかを決めていく。どんな計画で実践するのか、どんなスケジュールで実践するのかが問われる。ここでは「いかに」が問われることになる。

ドラッカーは「何を」が大きな問題になると言った。それはビジネスモデル、ビジネスの仕組みがうまく構築できなかったなら、どんなに一生懸命やっても、上手くいかないからである。この点からも、リーダーの役割が見えてくる。何を重視すべきかがわかる。

リーダーは、管理職と少し違う概念である。かつての管理職は、人を管理し評価することが大きな仕事だった。リーダーの場合、それに先立って、自分達のビジネスモデルで勝負できるかどうかを検討し、勝てるものになるように管理していかなくてはならない。

ビジネスの定義をし、モデルを作り、それを変更していくことがリーダーの仕事である。定義やモデルを変更することが改革である。第3のステップで問われる「ビジネスの手段」を変えるのは改善であって、これはリーダーとともに現場の担当者の仕事である。

 

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