■目標を組み立てる :リーダーになってしまった人へ その11

1 潜在顧客の想定

リーダーがビジネスを構築するとき、自らの信念で使命を明確にすることになる。そのときの使命は、自己実現とは違ったものであり、リーダーの思いだけでは成立しない。大切にしたい人たち、いわば潜在顧客を想定して、自分達の使命を考えることになる。

使命は良きもの、ドラッカーの言葉で言えば、[個人の美徳の上に実現されなければならない]ものである。[あらゆるリーダー的存在が、「公共の利益が自らの利益を決定する」といえなければならない](『現代の経営』選書下:p.316)。

自分達がなりたい姿を描くときに、他人に恩恵を与えること、つまり自分たちが大切にする人たちに支持されることを通じて、自分達の成果を見出せるようにするという構造である。こうして自分たちの使命が生まれ、具体的な目標を組み立てていくことになる。

 

2 「顧客の価値」と「自分たちの成果」

ドラッカーの『経営者に贈る5つの質問』のうち、質問2「われわれの顧客は誰か?」、
質問3「顧客にとっての価値は何か?」、質問4「われわれにとっての成果は何か?」…とあるのは、以上を見れば、当然の質問だと感じることになるだろう。

まず、誰に対して行動するのか、それが「顧客は誰か」ということになる。顧客に利益をもたらさなくては支持されない。顧客にとっての価値が問われることになる。同時に、自分達にも成果がなくてはならない。成果なきビジネスは永続しないからである。

ビジネスは反復を前提とする。そのためビジネスの仕組み、モデルが不可欠になる。われわれが持っている様々な要素を組み合わせて、何らかの機能が発揮できるようにすること。その機能によって、顧客と自分たちの双方に利益をもたらす仕組みが求められる。

 

3 「要素」×「構造」⇔「機能」

自分たちが良き行いだと思えることを通じて、「誰に、何を、どのように提供したらよいのか」を考えることがマーケティングの中核である。ドラッカーは5つの質問で、中核を構成する最重要な要素として「顧客、顧客の価値、われわれの成果」を問うた。

畑村洋太郎は『創造学のすすめ』で、創造のモデルを、「要素」×「構造」⇔「機能」であるとした。ビジネスでは多くの場合、要素を基礎にして機能が問われる。そのあと、構造が問題とされる。まず「顧客の価値」と「われわれの成果」の対応が必要である。

どうすれば顧客に価値をもたらせるのか、そのために仕組み・モデルが作られていく。構造こそが、成果を上げるための鍵である。「仕組み、モデル」を作るとは、要素をどう組み合わせて、どういうプロセスにするか…という構造作りのことだといえる。

モデル作りでは、[1]自分達の強みを分析し、潜在顧客を分析する。[2]何を価値とし、何を成果とするかを決め、[3]達成のために、どうすべきかを考える。達成すべきものは具体的であって、そのゴールが「目標」であり、その達成方法・道筋が「戦略」である。

 

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