■マネジメントとは? :リーダーになってしまった人へ その4

1 目標と戦略

マネジメントの中核になる概念は、何であろうか。目標とか戦略ということになるのかもしれない。実際、目標と戦略と言われれば、多くの人が納得するだろう。仕事において、目標を立てることは当然であり、戦略の本なら、本屋さんに行けば、いくらでもある。

目標と戦略はマネジメントの中心概念と認識されている。それは正しいことのように思われる。すぐれたリーダーであるエディー・ジョーンズは『ハードワーク』で、目標を中核にすえた。成功のためには、明確な目標設定が不可欠だと考えたのである。

▼人生において、大きな成功を望む時、まず皆さんにやっていただきたいことがあります。絶対にしなければならないことと言っても、過言ではありません。
それは明確な目標を設定すること。  『ハードワーク』(単行本p.16)

ジョーンズが、日本のラグビーチームのヘッドコーチに就任し、選手たちに[初めて会った時]、選手たちに目標を与えたのだった。「君たちは、これから世界のトップ10に入る! そして、3年後のワールドカップに、必ず勝つ!」と。

 

2 成果と目標

ジョーンズは、マネジメントの中核概念をも説明したといえる。成功を望む人たちは、成功するためにどういう方法を採るべきかを考えることになる。それがマネジメントの中核になる。ここにいう「成功」の概念は、マネジメントにおいて「成果」と呼ばれる。

マネジメントは、結果が問われる。成功したかどうかの結果が問われるということである。そうすると、結果が成功なのか不成功なのかが判断できるように、事前に判断基準を示しておくことが必要になる。こうした事前の判断基準とされるものが、目標である。

ジョーンズは言う。[明確な目標を設定すること]は[絶対にしなければならないこと]である。では、どうやって目標を明確化するのだろうか。明確な内容にするために、手がかりが必要である。目標に先だって、何らかの見通しが求められる。

ジョーンズは、[「日本人らしさ」を徹底的に活かした][「ジャパン・ウェイ」という日本独自のやり方を植え付けました]という。ジョーンズには、どうすればよいかの基本構想があった。明確な目標を設定するための見通しをもっていたのである。

 

3 明確な基準

戦略と呼ばれるものは、明確な目標を設定するための構想のことである。マネジメントとは、成果を上げるための体系であり、成果を明確化したものが目標である。明確な目標という言い方は成り立つが、不明確な目標というのは、本来ありえない。

目標の概念は、明確であることと一体の関係にある。目標とは明確な基準でなくてはならない。目標という概念には、明確であるという意味が含まれている。客観的な基準でなくてはならないのである。このあたりをジョーンズは、以下のように語っている。

▼目標は漠然としたものや、抽象的なものではいけません。数字などで具体的に表現され、結果が出たとき達成できたかどうか、はっきりわかるものでなければなりません。
明確な目標は、必ず強いイメージを伴います。そのイメージが、成功へと導くのです。 『ハードワーク』(単行本p.16)

なぜ目標が、抽象的であってはいけないのか。具体的なもの、判断基準となるものでなくてはいけないのか。そこにマネジメントの基本体系が関係している。『経営者に贈る5つの質問』では、この基本体系が明確になっていなかったのである。

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