■ビジネス文書の重要性:業務との関係 その3
7 手間のかかる赤ペン指導
赤ペン先生の指導は、テレックスの文書を書くときに、はっきりした効果が見えたということでした。かつては今と比較にならないほど通信状況がよくありませんでしたし、コストもかかっていました。遅くて、コストのかかる長文は好ましくなかったのです。
その頃、赤ペン先生に教わった方がおっしゃっていました。最初に自分が書いたものでは、長くてダメだと言われて、上司が修正して、真っ赤になったものが戻ってくるというのです。清書してみると、同じことがきちんと伝わりながら、簡潔だということでした。
書くべきことがわかっていたとしても、それを簡潔に書くには練習が必要になります。その都度、真っ赤になるまで手を入れてもらえた人は、恵まれていたのです。ときどき指摘されるだけでは不十分らしくて、あの人はモノにならなかったという話も聞きました。
8 簡潔でかつ的確
簡潔を良しとするのがビジネス文書です。簡潔で的確な文章を書くのは簡単ではありません。その都度、何度も赤ペン先生に模範を示してもらうのもよいのですが、そこまでしてもらえないのが現実です。そうなるとどうしたらよいのでしょうか。
文の構成を考えることが大切です。最初に何を書くのか、どういう順番で書くのか、そういう基本に立ち返る必要があります。簡潔で的確に書けるならば、同じ内容を繰り返す必要はありませんが、的確でない構成では、説明不足と感じさせることになるはずです。
文章構成を考えると、自分が作る文書の骨組みが見えてきます。そうやって、何を・どんな順番で記述しようとしているのか、自分で意識してみることが効果的です。法律文書を作るときも、構成のメモを作ってから書き始めるのが一般的になっています。
9 文書構成の必要性
ビジネス文書を作るときに、文書構成を考えることからスタートすべきでしょう。そのときビジネス全般に共通するルールが出てきます。ビジネスは反復することが基本です。その反復の中で、このケースは、どういう位置づけにあるのかを示すことが求められます。
文書を構成するときに、「いつ・どこで・どんな場合」であるのかを示すことが必要です。さらに「誰に・何を・どのように」行ったのか、あるいは行ってもらうことが必要かを示すことになります。これらの必要不可欠な要素を、どう並べるかが問題です。
原則からすると、「いつ・どこで・どんな場合」というのが前提条件ですから、はじめのところで明示するのが標準的でしょう。続いて、自分は「誰に・何を・どのように」したのか、あるいはこれからするのか、こうしてほしいのかという記述になります。
ビジネス文書の原則から考えると、以上の要素を並べる場合に、ある程度、標準化ができるということがわかるでしょう。注意すべきことは、形式を先に作って、それに当てはめようとすることです。これでは文書の質がいつまでたっても上がっていきません。