■ビジネス文書の重要性:業務との関係 その2


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4 現場重視という発想

以上のように、ビジネスに文書が必要なことは間違いありません。その文書がきちんと作れれば、問題にならないのです。現在どうなっているのでしょうか。文書のレベル低下は、もはやあれこれ言うまでもありません。とくにリーダーたちの文書能力が問題です。

引退した世代の人たちの中には、現場現場という言い方をする人たちがいました。そういう人たちに対して、しばしばマネジメントの欠如が言われていたように思います。ウソのような話ですが、マネジメントなんてどうでもいいとおっしゃる人たちがいました。

日本経済の成長期にぶつかった人にとっては、一生懸命働いて、まじめに仕事をしていれば、何とかなったのでしょう。そうなると従来からやってきたことを、現場できちんと実行することが大切になります。現場重視ということです。

それでも、その人たちは文書を重視していました。かつてのリーダーたちには、文書が書けることが仕事の基礎であるという認識が明確になっていたはずです。トップが正しい決断をしていれば、現場は確かに回っていたのかもしれません。

 

5 赤ペン先生の効果

かつてのリーダーが赤ペン先生と称して、若い人たちの文書を修正しているのを見たことがあります。こういうリーダーがいると、次の世代の中に文書能力が上がる人たちが出てくることもあるはずです。ただ何だか、見ていて気の毒な感じも持ちました。

リーダーの人たちから、満足する水準まで育たなかったというお話も何度か聞きました。文書を直されても、その都度、ここはこうと言われるだけですから、なかなかコツがつかめないはずです。なぜ方法を示さずに教えるのか、これは不思議なことでした。

しかしそれでも、一定の効果はあったと思います。見る限り、赤ペンでの指導で最重視されたのは、内容ではなくて簡潔な記述についてのことでした。簡潔な言い回しを身につけることは重要なことですから、一部の人には効果があったというべきでしょう。

 

6 簡潔にすることの効果

文書を作成する場合に、問題になるのは、内容とスピードです。早く正確に、優れた内容の文書が作れることがよいことになります。簡潔な記述が可能なら、読む側の負担が減ることは間違いありません。書くスピードが同じでも、効果があることになります。

苦労して、文章を簡潔にするのではなくて、簡潔で伝わりやすい記述の仕方に慣れることが重要なことです。そのコツがつかめたなら、時間も簡潔な記述の方が早く仕上がることになります。ここまでくれば、簡潔ということが文書の内容に影響を与えてきます。

簡潔に書くために、どうするのがよいのか、それが問題です。たんに言い回しだけでなくて、思考を明確にすることが必要になります。この場合、マネジメントを知っておくことが重要です。思考が明確だからこそ、内容が判断しやすくなるのです。

 

 

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