■スマイルカーブと業務の品質

1 下流部分が問題

スマイルカーブというのをご存知でしょう。一応確認しておきましょう。ご存知だと思って、企業担当者と話していると、意外にもご存知でなかったということもありました。思っているほど認知されていませんでした。そんなに難しい概念ではありません。

ビジネスの上流から下流を利益率から考えてみると、企画・開発にあたる一番の上流部分とお客様に直接かかわる販売やアフターサービスなどの一番の下流部分の利益率が高くなります。スマイルのように両辺が上がっているグラフが描けるのです。

コロナの問題が起きてから、下流部分が問題になりはじめています。たぶんあまり本気で考えていなかった部分です。お客様がまだ以前ほどに戻ってきてはいませんから、いま業務の形態を変えないといけないとお考えの人たちが出てきています。

ポイントとなるのは、付加価値が高いはずの下流部分の業務品質を上げるためにどうするかということです。業務の品質によって売り上げに変化が起きるだろうという想像はつきます。販売のありかたによって、会社の姿勢がお客様に伝わることになるはずです。

 

2 業務のブランド化

お客様と接する人たちのスキルをあげることは、必ずしもすべての組織が行えるものではありません。販売にコストをかけていては、競争に負けてしまうということはあります。品物で勝負という発想も強くありますから、まだ一部の動きでしょう。

さらに販売が大切であることは、重々承知のことですから、多くの企業で販売の業務について、すでに検討を行ってきていることだと思います。ところが、ここまで差が出てくると、販売における業務のあり方をもう一度考える必要が出てきたのでしょう。

業務のブランド化という概念は、ご説明すれば、それですと感じる概念です。販売を通じて、お客様に対して自社のあり方や自社の製品がどんなものであるかを感じてもらうことができます。どうしたらお客様の支持が得られるかという問題です。

わりあい結論は簡単な話になるかもしれません。まずは当然のことですが、接客する人たちのスキルが高いということ。もう一つは、接客する人たちが商品企画や開発に関わるということです。こちらも、以前からよく言われていることでした。

どうやら、あたりまえのことの再確認とも言えます。こうした基本にかかわるところを、もう一度検討すべき時期に来ているのでしょう。その際、お客様の支持の高さが、生活必需品とそれ以外の分野とで違ってきています。この点も当然とはいえ大切なことです。

 

3 問題となる「いいものを・どんな方法で」

いまスーパーでの売り上げは安定して高くなっているはずです。外食の機会が減ることによって、食品を中心とした生活必需品の購入はじわりじわりと上がっています。こうした必要不可欠な品物の販売では、販売業務の見直しは緊急ではありません。

問題になっているのは、例えば、きちんと使い方を説明したら、もっと活用していただけるのにという気持ちをもった職種の方々です。何とかして、この品物の良さが分かっていただけるようにしたいという人たちはもともといました。いまは切実です。

自宅にいる時間が増えたため、品数を増やすよりも、いいものをもっていたいという機運が出てきまています。そうした流れに乗って、やや高額なものでも一部では売れているようです。それらはお客様に、いわゆるブランドとして認知されています。

自分達のものがブランドになってもおかしくないのです。こうした感覚をかなりの人が持っているでしょう。一番基本にあたるところが問題になっています。業務の品質を上げること、業務のあり方によって、ブランド化が可能になるかもしれないということです。

お客様に近い部門は、付加価値が高くなってもおかしくありません。ところが付加価値の高いはずのモノを売っているにもかかわらず、販売の人たちの業務をあまり重視していなかった面がありました。さあ、どうするのと、待ったなしの状況になっています。

 

 

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