■目標管理の方法 その3:ビジネスモデルの基礎

1 測定値と目標値との比較

目標管理は、目標を掲げて、それを達成するために行われます。目標管理の手法は「実行し・測定し・検証する」仕組みを作って、測定値と目標値を比較することで検証していく方法です。比較するためにも、目標を客観的な基準にすることが求められます。

日本航空を再建するときに先頭に立った稲盛和夫は、目標がずれてはダメだと言ったそうです。目標に達しない場合でも、上回る場合でも、ずれていては目標管理がきちんとできていないという考えだったとのこと。目標管理をいかに重視したかわかります。

目標管理ができていると、何がよいのでしょうか。明らかにおかしなことが起こった場合、経営環境に変化が起こっている可能性があります。目標管理がきちんとできていれば、自分たちの予期していなかった出来事に、いち早く気づくことができるのです。

ドラッカーは、予期せぬ出来事を活かすことをイノベーションの重要な機会だと見ていました。予期せぬ出来事を察知するためには、目標管理ができていることが前提になっているといえます。ただし最初から、厳密な数字で管理できるわけではありません。

 

2 目標管理のポイント

目標管理のポイントは2つあります。(1)現状について客観的な測定結果を得るために工夫すること、(2)目標値と比較して、結果がどうであるかを検証すること。このため測定基準が比較できる形式になっていることが一番の基礎的な条件になります。

客観的な測定のために、数字で程度を表す形式が原則になります。客観的であるためには、測定方法と測定基準が決まっていることが必要です。この場合、数量化する項目を決めて、標準的な測定方法に従って測定方法が決まるばかりではありません。

項目に該当するかどうかの「YES/NO」のチェックから点数化することも可能です。この場合、項目を列挙し、各項目の実行の有無を確認するになります。これを単純集計するだけでなく、必要に応じて各項目を点数化すれば点数化が可能です。

状況を把握するためには、まず「YES/NO」がわかるようにすることが大切です。数値化は、その次の段階でなされるものです。これらは最初から必要になります。ビジネスモデルをつくるときに、こうした目標管理の仕組みを組み込んでおかなくてはいけません。

 

3 成果とすべきことの定義

ビジネスモデルが最初から洗練されたものであるなら問題ありませんが、それは例外でしょう。実行しながら、形成していくのが一般的です。このとき問題になるのは測定の指標です。目標を管理する場合、自分たちの成果を測る指標自体が検証の対象になります。

実態がどう考えてもよくないのに数字がよい場合とか、実態はそれほどひどくないのに数字が悪いという場合、測定の方法や基準が適切でないことが考えられます。成果をどうやって測るのかを考えることによって、目標管理が洗練されてきます。

企業が永続するための条件をドラッカーが「ビジネスの理論」(The theory of the buisiness)で語っていました。事業の定期となる3つのこと、①ビジネス環境の把握、②成果とすべきことの定義、③強みを発揮する仕組みの構築が必要になります。

目標管理の基礎となる「何を指標にして自分たちの現状を測るか」という測定は、②成果とすべきことの定義に当たります。ビジネスモデルを構成する要素のなかでも必要不可欠なものであり、目標管理によって検証の対象とされる基礎項目というべきです。

 

 

カテゴリー: マネジメント パーマリンク